インストール;綿矢 りさ | 顎変からの復活にむけて頑張るBLOG

インストール;綿矢 りさ

今、高村薫「リヴィエラを撃て」と宮部みゆき「模倣犯」を同時に読んでます。が、「リヴィエラ」は途中放棄してしまう可能性が高い・・。


難しすぎるというか、理解不可能ぽい。知らない地名たくさんでてくるし・・。 「模倣犯」は、日本語も平易だし、すーっと読めそうです。


「インストール」書きます。

著者: 綿矢 りさ
タイトル: インストール

オススメ度6.5/10


学校サボりがち、人生投げやりな女子高生野田朝子が、エロチャットの申し子小学生かずよしから、時給3000円!!儲かるエロチャットを教えてもらい、はまっていく。


かずよしのメール友達、みやびの振りをして、エロチャットにはまっていく朝子とかずよし。ちなみに、かずよしもみやびの振りをしてチャットする。二人一役という感じ。


が、しょうしょうイタイ大学浪人生のチャット青年聖璽に正体を見破られ、リアル世界にもう一度価値を見出して行く。


ストーリーは、なんていうことはないですな。ありがちといえば、ありがち。


でも、僕はこの本好きなんです。


僕は男子校だったから、女の子とのつながりっていうのもそこまでなかった。デートはしたことありますが、それっていうのは女子高生の日常とは違う。向こうも結構気を使ってるだろうし。


この朝子は、日常の女子高生、です。 青春をもてあましながら、将来のこと、性的なことなど考えているというのは、(僕にとっては)非常にリアルです。
家族や友達の話を織り交ぜながら日常生活を描いている。


他人の家の押入れでエロチャットっていうのは、非常にまれな状況ですが、朝子の考えていることはそれほど珍しくないんじゃないかな、と思います。希望と失望の間で常にゆれている。


女子高生に、それから女子高生を神格化していた(言いすぎ)男子高校生だったころの僕に笑えます。まーこんなもんかもなっていう。それだけで読む価値はありました。



「こんなもん誰にでも書けるわ」っていう書評家が多いらしいですが、こういう文体で書けるのは、絶対若いうちだけだと思います。


内容は平凡ですが、独特の言い回しと、その言い回しを恥ずかしがらずに多用できるのは、10代だけじゃないでしょうか。この人は、この年齢にしては、表現力は間違いなくあるし、それを使える大胆さがあります。「ピンぼけうつろですな」という台詞に代表されるおもしろい言葉があるのですが、どこから、そんな言葉が出てくるのでしょうか。それは僕にとっては魅力。


エロ言葉については・・・。なくてもいいし、あってもいい。ただ、エロ言葉を文章に表すところにかわいらしさを感じます。「エロ言葉をほのめかすだけで言葉にしないで読者に想像させる」というテクニックを持った女子高生なんていうのは怖いです(笑)