全日空は、米子-中部空港、石見-大阪伊丹空港の2路線の定期便を不採算路線として、運休したいとの意向を鳥取県と島根県に示したとのことです。日本航空の経営悪化の原因が、「国土交通省や地方自治体が地方の不採算路線を航空会社に押しつけていることが主因」で「整理すべき」という論が闊歩していることから、いずれ、全日空など他の航空会社が不採算路線から撤退を表明することは自明だと感じていました。ここ数年、「通行量の少ない地域に高速道路を整備することはムダ」「巨額の費用がかかるダームー事業はムダ」と「ムダ根絶」が政治のテーマであるかのように報じられています。確かに、割高な工事費や不要と思える事務費などが計上されてきた面があることは否定しませんが、そうだからと言って『事業そのものがムダ』と決めつけて、地方の基盤整備を中止し、また、不採算だからと言って鉄道や空路、航路を整理することが正しい判断なのでしょうか。日本は永らく「国土の均衡ある発展」を国是とし、税によって所得が再分配され、結果として富が平準化、公平な社会が形成されてきました。しかし、十分な準備をしないまま「グローバル化」「自由競争」に舵をきったため、「格差」というかたちで社会矛盾が表面化し、国民の不満が政権交代というかたちで示されました。民主党・鳩山内閣の支持が低下する一番の要因は「なぜ、国民が政権交代を選択したのか」という理由と民主党・鳩山政権の政策に大きなミスマッチがあることです。ほとんどの賢明な国民は、国債の増発による金銭給付などを望んでおらず、「能力に応じた負担と必要のあるところへの給付」という本旨に則った政治を求めているのだと思います。事業仕分や不採算事業の見直しの報道がされればされるほど、政治のありかたについて感じるところが大きい年度始めとなりました。