目が覚めたら Jが心配そうに私を見ていた
Oもいる.. ああそうだ 私はJとケンカして
アパートを飛びだしたんだ
倒れた私を Oがヘルスケアシティの病院に
連れて Jにも連絡してくれていた
Juli なんてことをするの?どれだけ心配したか
Oが見つけてくれなかったら..
軽い熱中症だって 貧血もひどいみたいで
点滴を今 入れてもらってる
なにも心配しなくていい 私たちがそばにいる
ごめんなさい O.. Jもごめんなさい
私はまた子どもみたいに泣いてしまった
この国では 私はなんて無力なんだろう..
処置が済んで 3人でアパートへ戻った
車の中で Jは私の手をにぎって無言でいた
まだ ぼんやりしている私は Dubai生活の
むずかしさを実感していた
どんなに英語が話せても お友達すらできない
それは私の性格にも問題あるのかもしれない
もう このまま JとOがいればいいとも思った
仕事をすれば お友達もできて
充実した日々がまた送れて
自分の存在意義も実感できると思っていた
でもそれって Jが止めるのを振り切ってまで
するほど必要なことなんだろうか?
実際 Jの収入だけで 私たちは暮らせている
私はとても長い間 Jと離れて暮らしていて
やっと毎日一緒にいられるようになって
幸せそうなJを見るのが 私の幸せなのに?
そのはずなのに 今のJはとても悲しそう..
なんだか 自分がどうしたいのか
よく わからなくなってきた..
アパートに着いて Jが私をベッドに
寝かせて静かに言った
Juli あなたは 私と出会った時 過酷な状況で
働くエンジニアだった Aを産んでからも
日本企業でAを育てるために必死に働いていた
これからは 私のために生きてほしい
そう願うのは 私のわがままなのだろうか?
いいえ 私は残りの人生をあなたにあげると
約束した
でもいざ専業主婦になってみたら
私の存在意義がよくわからなくて不安だった
毎日なにもしないであなたの帰りを待つ私は
なんなんだろうって..
あなたは 私のケアをしてくれて いつも私を
たくさん愛してくれて 笑顔を向けてくれる
あなたの存在意義は 多数の人に
認められないといけない?
私だけでは足りない?
それはJを愛すると決めた時点で覚悟したはず
Jの世界は特殊でとてもせまくて
若い頃は私だけがすべてだった
Aが生まれて 巣立つまではAもいたけど
今はまた私だけになっているはず..
私はJの言うことがとても理解できる
あなたはやっぱりカラダが弱いし
大切な奥さんを家において養い守るのは
夫として当然のことだと思うよ?
私は 日本にいた時 ずっと思ってた
会社でどんなに必要とされていても
Jに必要とされることの方が重要だと..
いざ そうなったら 不安になるなんて
私のほうが わがままなんだわ
Jは私の手をとって言った
私はJuliさえそばにいてくれるなら 他は
なにもいらない 望まない
仕事はやっぱりして欲しくない
あなたは無防備に誰にでも笑うから..
わかったわ もう少し家にいることを
がんばってみるわ?
Jはうれしそうに私を見つめて笑った
Oも遅くまで巻き込んですまなかった
明日も仕事なのでは?
問題ないよ? 明日はちょうどデイオフだし
私は2人の友達として
当然のことをしただけだから..
もう遅いから 泊まって行くといいよ
疲れているだろうから
Yes そうしようかな?
O..本当にいつも感謝してる..
これからもずっと 私のお友達でいてくれる?
もちろん!私はまさかあなた達がDubaiに
移住してくるとは思わなかったから
こうして一緒にいる時間が増えてうれしいよ
そうね?Emiratesになかなかボーディング
できなくなったことだけが 残念だけど..
またどこかに行くとき すぐにボードできるよ
あはは その時は必ず乗務するから
こうして 私の起こした騒動は終結した
Jの世界には私しかいない
私はそれを知っていたはずなのに忘れてた
今までは離れていたから Jも我慢して
これたんだと思う
一緒に暮らして Jの視界に常に私がいたら
こうなることはわかっていたはず
他からみたら 絶対普通じゃないと思う
私もそう思う時 あったもの
でも それはもうJの個性で 私はそれを
若い頃から 受け入れてきていた
18年も離れていたから そんなJの特性を
忘れていたんだと思う
あと 長年会社員でいて 急に専業主婦に
なったこともストレスに感じてたんだと思う
頭ではわかっていても 心がついていかない
そんな感じだった
Dubai移住がいけなかったのじゃない
離れていた18年は簡単には取り戻せない
多分 残りの人生の時間でも難しいと感じる
でも それでも私たちは2人で今 こうして
一緒にいることができている
私たちがお互いを愛しているかぎり
少しずつ 離れていたことも忘れていけるはず
私たちは まだ2人で暮らしはじめて5か月
やっと2人で一緒に歩きはじめたばかり..
しばらくは Jだけを見つめている時間が
あってもいいと思った
今はまた平和に暮らしています
とにかく元気すぎるJをおとなしくできる
方法はないかと 日々考えています
やっぱり睡眠薬なのかしら..
そんなバカ夫婦の近況でした
