回転体の体積2024 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

今年出題された回転体の体積や表面積を求める問題です。

 

右の図のように、円すいと直線アイがあります。次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とし、円すいの体積は (底面積)×(高さ)÷3で求められます。(甲陽学院2024)

⑴ 直線アイを軸として円すいを1回転させるとき、円すいが通る部分の立体の体積と表面積を求めなさい。

 

右矢印右矢印右矢印

体積

円すいを1回転させるとき」にできる立体は下図左の△PAO(平面)を1回転させたときの立体と同じ形になる。

そして上図右の黒点線で示した大きな直角三角形を回転してできる大きな円すいの体積を⑧とすると、赤の小さな直角三角形の回転体(小さな円すい)の体積は①(大きな直角三角形と相似で辺の比1:2より体積比1:8だから)、青の二等辺三角形の回転体の体積は⑥となる。

 

よって赤の回転体の体積①が 3×3×3.14×4÷3=12×3.14 だから、求める立体の体積⑥は 37.68×6=226.08㎤

 

表面積

辺PQ(左図の黒太線)が軸アのまわりを回転してできる表面積は辺PQが軸アまでの距離を半径とする円の円周を回るものとして計算できる。このとき軸アまでの距離は辺PAの真ん中の点からの距離4.5㎝となる(パップス=ギュルダンの定理より)

同じように辺PO(右図の黒太線)についても軸アまでの距離1.5㎝を半径とする円の円周を回るものとして表面積を計算できる。

 

こうしてそれぞれの辺がつくる側面の表面積を計算すると(辺AOの表面積はそのまま半径6㎝の円の面積として計算すると)

  • 辺PA…5×(4.5×2)×3.14=45×3.14㎠
  • 辺PO…5×(1.5×2)×3.14=15×3.14㎠
  • 辺AO…6×6×3.14=36×3.14㎠

よって求める表面積は (45+15+36)×3.14=301.44㎠

 

⑵ 円すいの側面(表面から底面を除いたもの)だけを考えます。この側面を直線PAとPOに沿って半分に切り分けたときの、点Bを含む方の曲面をSとします。直線アイを軸としてSを180度だけ回転させるとき、Sが通る部分の立体の体積と表面積を求めなさい。
 

右矢印右矢印右矢印

体積

切り口の面(△PAOの面)の動いたあとを上から見ると下図左のようになり、局面Sの動いたあとは下図右のようになる。

このようにすべての面が180°回転するから(面が回転したものが立体だから)求める体積は小問⑴で求めたもののちょうど半分になるので

 226.08÷2=113.04㎤

 

表面積

まず下の左図にある部分の面積は、辺PAと辺POが軸アのまわりを½回転してできる表面積だから小問⑴で計算したものをそのまま½倍すればよい

  • 辺PA…45×3.14×½=22.5×3.14㎠…ア
  • 辺PO…15×3.14×½=7.5×3.14㎠…イ

それ以外に上の右図にあるように①内側の側面、②外側の側面、③底面の面積を足す必要がある。これを求めると

  • ①と②の面積…2つ合わせてちょうど半径3㎝の円すい1つ分の側面積になるから(長さ5㎝の母線が半径1.5㎝の円の円周を回ったものと考えて)5×(1.5×2)×3.14=15×3.14㎠…ウ 
  • ③の面積…等積変形すると半径6㎝の円の面積の½になるから 6×6×3.14×½=18×3.14㎠…エ

よって求める表面積(ア+イ+ウ+エ)は

  (22.5+7.5+15+18)×3.14=63×3.14=197.82㎠ 完了