以前の記事の続きです。
前回取り上げた問題では「カプレカ数」の問題だとはっきりと書かれていましたが、今回取り上げたのは問題文にそうした記載のない問題です。数字そのものを暗記しておく必要はまったくない(その場で出せるので)としても、ああこれはカプレカ数の話だなとすぐに気づけるぐらいの知識は持っておきたいところです(別の問題なのに同じ数字の答えが出てくると「あれ、計算間違いしたかな?」と自分の計算ミスを疑って動揺してしまう小学生は結構多いです)。
また、最初の問題のように「2023年」と結びつけることも簡単なのでそういう切り口(「2023にこの操作を行うと…」とか「この操作を2023回行うと…」とか)で出される可能性もありそうです。
4ケタのカプレカ数(東京女学館2021B)
整数nに対して、次の操作を行います。
操作:「nの各桁の数字を大きい順に並べた数」から「nの各桁の数字を小さい順に並べた数」を引く。
例えば、215に操作を1回行うと、
521-125=396
という数が得られます。
また、1700に操作を2回行うと、
1回目の操作:7100-17=7083
2回目の操作:8730-378=8352
という数が得られます。このとき、次の各問いに答えなさい。
⑴ 593に操作を1回行って得られる数を求めなさい。
593の各桁の数字を大きい順に並べると953、小さい順に並べると359なので
953-359=594
⑵ 2021に操作を1回行って得られる数を求めなさい。
「0」の取り扱いに少しとまどいますが、例題を見ると「0017→17」として考えなさいという指示だと読めます。
2210-122=2088
⑶ 2021に操作を2回行って得られる数を求めなさい。
1回めの結果2088を使うと、2回めの操作の結果は
8820-288=8532
⑷ 2021に操作を5回行って得られる数を求めなさい。
2回めの結果8532を使って3回め、4回めの操作をしてみると
③8532-2358=6174
④7641-1467=6174
あとは何回やっても同じで 6174(=4ケタでただ1つのカプレカ数)
3ケタのカプレカ数①(広尾学園2020)
3けたの整数に次の作業①と②を順番に行い、新たに3けたの整数を作ります。ただし、111のように各位の数がすべて同じものは考えないものとします。
(作業)
① 各けたの数を並べ替えてできる整数のうち、最大の数と最小の数を作る。
② 作った最大の数から最小の数を引く。
(例)576のとき、765-567=198
300のとき、300-003=297
次の問いに答えなさい。
⑴ 3けたの整数805について、作業①と②を1回行って作られた整数を答えなさい。
最大の数が850、最小の数が058なので
850-058=792
⑵ 作業①と②を1回行って作られた整数は、必ずある数の倍数となります。ある数として考えられる最も大きい数を答えなさい。
805のとき792、576のとき198、300のとき297が作られることがここまでで分かった。これらがすべて「ある数の倍数」であるとき、これらの差もまた「ある数の倍数」となる。
そこで2つずつの差に注目すると
792-297=595
297-198=99
よって、595と99の最大公約数を考えればよいので 99
⑶ 作業①と②を行って作られた整数に対して、再び作業①と②を行い新たに3けたの整数を作ります。さらに、この整数に対して作業①と②を行い新たに3けたの整数を作ります。これをくり返していくと、必ず決まった数になります。その数を答えなさい。
396からはじめると 963-369=594
594をもとにすると 954-459=495
495をもとにすると 954-459=495
あとは何度やっても必ず 495(=3ケタでただ1つのカプレカ数)になる。
3ケタのカプレカ数②(海陽中2019)
1から9までの9つの数から異なる数を3つ選びます。次に、この3つの数を並べてできる3けたの整数のうち、一番大きな数と一番小さな数の差を求めます。例えば3、6、9を選んだ場合、一番大きな数963と、一番小さな数369の差を求めます。
⑴ 3つの数として1、2、9を選んだとき、一番大きな数と一番小さな数の差を求めなさい。
921-129=792
⑵ 最初にどのような3つの数を選んでも、求めた差は必ずある数の倍数になります。どのような数の倍数になっていますか。できるだけ大きい数を答えなさい。
99
次に、求めた差について、各位の数を並べ替えて、先ほどと同様に一番大きな数と一番小さな数を考え、差を求めることを繰り返します。すると、どのような3つの数をえらんでも何度か繰り返すうちに必ず同じ数になります。
⑶ この「同じ数」を答えなさい。
495
⑷ 「同じ数」になるまでに、差を最初も含めて5回求めなければならない数の組は7組あります。それぞれの組でできる一番大きな数を7つすべて答えなさい。
たとえば条件に合うものとしてうまく987を見つけられたとする。
①987-789=198
②981-189=792
③972-279=693
④963-369=594
⑤954-459=495
ここから分かるのは、1回めの操作で198になる数は「5回」めには必ず495になるということ。
そのような数をさがすと 987、876、765、654、543、432、321