暴動、中国の陰謀では=ダライ・ラマいら立つ | 朝の書評

暴動、中国の陰謀では=ダライ・ラマいら立つ

2008/03/29-20:42 暴動、中国の陰謀では=ダライ・ラマいら立つ

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008032900339&m=rss

【ニューデリー29日時事】インドのPTI通信によると、チベット亡命政府指導者のダライ・ラマ14世は29日、当地での記者会見で、中国チベット自治区の暴動に関し、「中国軍の兵士数百人が僧侶姿に変装していたと聞いている」と述べ、暴動は中国側が仕組んだ可能性があるとの考えを示唆した。
 ダライ・ラマは中国に対話再開を再三要請しているが、中国当局は暴動を「ダライ一派」の陰謀と決め付け、これを拒み続けている。ダライ・ラマの発言は中国の反応に対するいら立ちを示したものとみられる。
 暴動を中国軍が扇動していたという話がちらほら漏れ伝わってきます。それがどのように中国政府の利益になるのかよくわかりません。しかし振り返ってみると、2005年の反日暴動も、当初は日本の国連常任理事国入りを牽制するための官製デモだと言われていたのが、だんだん反政府デモの色彩が強まり、収拾が付かなくなって、最終的には中国政府がデモを抑制したという経緯があります。
 中国国内では、CNNやBBCの衛星放送中にチベットが取り上げられると途端に画面が真っ黒になるそうです。先日のギリシアの採火式で北京オリンピックのボイコットを呼びかける抗議シーンも、中国のテレビではカットされました。こんなことをすればするほど海外メディアの中国批判は強まるでしょうが、つまりは国内向けの処置であり、国内世論が硬化することを恐れてのことだと考えられます。
 欧米の首脳がダライ・ラマとの対話を呼びかけたのに対して、中国政府は今のところ完全に突っぱねています。「ダライ・ラマが独立を求めず、チベットと台湾を中国の不可分の一部と認めれば話し合いに応じる」などと意味不明のことを言ってますが、そもそもダライ・ラマは高度な自治を求めているのであって、独立を求めているとは言明していません。だからこれは、ダライ・ラマがなにを言おうが分離主義者に決まってるから話し合うつもりはないと言ってるのです。なぜこんなにも強硬一辺倒なのか。おそらく、チベットに少しでも融和策を取ると、国内世論の反発に足をすくわれかねない状況なのではないでしょうか。
 ただのシロウト読者でしかないわたしには、本当のところはわかりませんが、 youtube で tibet を検索すると、中国人らしき人たちの書き込みが多数あって、ものすごく強硬です。まあ、一般市民じゃなくて公務員が仕事で書き込んでるのかもしれませんが、それにしても、CNNもBBCも嘘つきだとか、ダライ・ラマはCIAの手先だとか、チベット弾圧を断固支持とか、中国以外の国々の論調とはまったく隔絶しています。
 中国政府が最も恐れているのは、2005年にそうであったように、排外デモがいつのまにか反政府デモにすり替わり、さらには、全土に反政府暴動が広がることなのでしょう。それに比べれば、海外からの批判など小さな問題なのです。
 中国政府が漢民族自身による反政府暴動を非常に警戒していることは、実際にそれが起こりうることを示しているのではないでしょうか。チベットに対する、欧米メディアに対する、あるいは日本に対する懐柔は、すべて反主流の政治勢力に政府を叩く口実を与えることになるのであり、そういったことがまったくできない硬直化した今の中国政府の対応から、反主流の政治勢力が相当に強力であるらしいことが透けて見えてくるようです。
 だとすれば、様々な思惑が錯綜する中国国内で、今回、チベット人以外の誰かが、騒乱を大きくする政治的工作をしたのだとしても、さして不思議ではないのかもしれません。

(関連)youtubeにアップされた日本での抗議行動の様子[2008/03/22]

http://jp.youtube.com/watch?v=0HGKgTMq0mo

チベット問題を考える議員連盟の牧野聖修氏(前衆議院議員)が、ラサ暴動参加者には僧衣を着た偽者やラサ市民でない者が多数含まれていたと語っています。