うちにサリ麺のストックがある理由。
(2/28付   "焼き肉の締めはスープ派? 麺派?")  


40数年ほども前に知り合った同い年の女性が、当時は兄が本荘駅に近い所で開いた喫茶店を切り盛りしていて、彼女が作る焼そばがとても美味しかった。
中華そばの乾麺で、おばさんパーマのように見事に波打っていたのを、肉と野菜を炒める傍らでさっと茹でてた。味付けがまた良かった。 
業務用食材の卸し業から仕入れていたのだろう。
スーパーなどで手に入る一般的な焼そばは蒸し麺で、チリチリパーマではない。あちこちでチリチリパーマの乾麺を探したけれど、中華麺の乾麺はあるんだけど、直麺ばかり。 

ある時、ドンキホーテの韓国食材の棚にサリ麺を見付け、チリチリパーマだったので買ってみた。
市販の2~3食入り焼そばについている粉のソースは甘くて好みじゃない。
自己流に工夫して味付けしても、いまいちいまにだった。秋田県横手市のB級グルメ "横手焼そば" のソースを試したら、友人の焼そばの味に近い。だけど、とんでもなく甘い。
色々工夫してみると、ウスターソースと吉成汗(ジンギスカン) ソースの組み合わせが、求める味にかなり近いと分かり、嬉しくなった。
何度か作っているうちに、何となく感じてた違和感の原因ガ分かった。麺が違うのだった。
鍋物向けの韓国サリ麺に 昔々に食べていた焼そばと同じものを求めるのが、間違いだということに気付いた。    
それっきり、昔懐かしい味を追い求めるのをやめた。  
彼女の両親が自宅客間で常連客相手に営業していた焼き肉屋の、自家製タレが凄く美味しかったのだけど、思えばその特製焼き肉タレを彼女の焼そばに使ってたんじゃないかしら。
その美味しいタレをネスカフェの大きい空き瓶に詰めたのをくれてたから、私は長年市販の焼き肉のタレの味を知らなかった。と言うか、私が長年焼き肉店に行かなかった理由でもあった。

吉成汗ソースは 他の料理に何かと役立っている。スペアリブの漬け汁に、オイスターソース等とミックスしてもいいし、ステーキのソースを作る時にも混ぜる。
   
「そんな手間隙を掛けずとも、本荘の友人に訊けばいいじゃないの」と思うのだが、苦しい恋愛やら家族内の事情やらがあって、最後にやっていた小料理屋をいつの間にか締めて、兄夫婦がやっていた行列の出来るラーメン屋もいつの間にか閉まっていて、実家はとっくになくなり、友人とは連絡がつかない。

これが、うちにサリ麺がある理由。