某クイズ番組で 問題の答えが "波の花" だったけれど、回答者全員が "波の花" を知らなくて、海岸沿いの道路を覆う波の花の映像を見た1人は「石鹸の泡? 道路にまで溢れた?」と言った。

縁があって 山形県吹浦町に頻繁に遊びに行っていた頃、酒田から山の方に入った温泉宿で開催された地元消防団の新年会に参加予定だったが迎えのマイクロバスに乗り損ねた役員の1人に頼まれて、送って行った。いつもお世話になっていた人だし。

そもそも冬の日本海は鈍色  (にびいろ) で波が荒くれ立っている。酒田市を過ぎようとする頃、国道と海の高低差も距離も多分最も近いと見受けられる辺りに来たら、高い波が防護柵を越えて道路を洗う。波が引く時には辺り一面が波の花で覆い尽くされて、路面が見えなくなる。波は車のフロントガラスをも洗う勢いだ。対向車なんて1台も来ない。
少し先に行くと、国土交通省の道路標識が『通行止め』とある。Oh my godだ。  
対向車が来ない筈だ、対向車線はずっと先から通行止めなんだから。
吹浦に引き返そうとUターンしたら、ジモティは別の道を知っていて、結局は遠回りして宿まで運転して行った。 
田舎のとうちゃん・あんちゃんがボランティアでやっている消防団の新年会に、下戸のレディが1人混じり、妙にハイテンションの宴会に参加し、入浴後は滅茶苦茶狭い部屋の雑魚寝の一番外側に敷いた半折れ布団に横にはなったものの、鼾大会のまん中で眠れやしなかった。
その上 結露がひどくて、布団の端がガラス戸に沿ってジトジトと濡れた。もう一方に寄りたくても、一緒に行った人が鼾かいて寝倒れている。
とんでもない元旦だったけれど、何でか忘れやしない。

波の花と雪もや水の返り花  
         松尾芭蕉