1p
○概括的序章
▽ 信仰的主題 ▽ 正統派ユダヤ教徒にとって、ヘブライ聖書の持つ最大の主題(メッセージ)とは、簡単に述べれば、「神の律法は、遵守しなければならない」という事であろう。 もう少し詳しく言えば、「神を愛し、律法を守れば、神から恩恵を与えられ、反対に、律法を守らなければ、罰を与えられる」という事である。(私は、これを 信仰的主題 と呼ぶ)
この「信仰的主題」には、いわゆる「契約の思想」と言われるものが含まれており、律法を遵守することは、シナイにおいて、神とイスラエル民族との間で交された、契約に基づいていると思われている。 ところで、ヘブライ聖書は、ユダヤ教の正典であり、源泉である。それ故、ヘブライ聖書の主題は、ユダヤ教の主題でもあり、ユダヤ教にとって最も重要な思想でもある。だからこそ、ユダヤ教徒は、日夜、律法を必死に実行するのである。 そして、この「信仰的主題」は、モーセの登場以降、聖書のなかに頻繁に現れることになる。しかし、モーセの登場以前は、まだ、はっきりと述べられていない。なぜなら、モーセ以前には、律法は存在していなかったからである。(割礼を除いて)
1p |
「シュメール・ギリシャ神話による創世記の新解釈」 第1部・目次
|
|
☆創世記の新解釈☆ *本書の内容*
★ シュメール・ギリシャ神話による聖書の考察・理解 ★
過去数百年、オリエント地域では、膨大な量の考古学的遺物が発掘されてきた。 それらの中でも、シュメール・アッカド文明に関連する、粘土板に記された文献は、非常に重要な意義を持つ。 それらの文献は、聖書の基本的主題についての、従来の考え方を、<根本的に変革する事>を、我々に要求している。 シュメール文明は、紀元前3000年紀において、既に二次式や幾何学を研究したり、高度な建築技術・冶金術・法律体系を擁する、驚くべき文明であった。 そして、その文明を受け継ぎ、発展させたのが、ギリシャ文明とヘブライ文化なのであった。 本書では、この様なシュメール・ギリシャ両文明の神話資料から、聖書の考察・類推を行い、基本的主題の解明に努めた。 その結果得られた基本的主題とは、「イスラエル=神と戦う者」という主題であった。・・・・・・・ ヤコブが、神と戦って、「イスラエル」に改名した事は、いったい何を意味するのか? それを解明する鍵は、シュメール・ギリシャ神話に存在したのである。この鍵によってのみ、聖書の扉を開く事が出来るのである。 我々は、遂に、聖書の真の構造・主題を、実証的に解明する時期に到達したのである。 *本書では、<律法の意義>の再構築も試みている。 |