秋が深まったと思うと、あっという間に冬がやってきました。近くの公園の木々もすっかり色づき(写真1)、風が吹いて紅葉が舞い落ちる寒い日々です。北日本は雪が積もり、街はクリスマス色が溢れてきました。神戸では恒例のルミナリエ開催のニュースが流れています(写真2)

さて師走になるまでに就学時健康診断が各小学校で実施されます。この健診は教育委員会が学校保健安全法にもとづき、就学前年度の1130日までに実施されるものです。同健診は昭和33年以来毎年実施されており、様々な項目について実施されます。特に定期接種の予防接種歴、とりわけMR(麻疹・風疹)ワクチンの接種有無の確認がなされます。なお最近、麻疹に関してWHOが特に警報を出しております。それはヨーロッパやアメリカで麻疹が激増しているというものです。英国、ギリシャなどの国が「麻疹排除国とはみなせない」とWHOが警告している状況なのです。WHOによると欧州48か国では2019年の前半期に89994件の麻疹が発生しており、これは昨年同期の2倍以上の数であります。麻疹は2回の予防接種で発病阻止が可能なのであります。ですから就学時健診で2回の接種歴をしっかりと確認しているのです。もし未接種であれば必ず331日までにMRワクチンの予防接種を受けるようにお話ししています。

     

    写真1 近くの公園の紅葉

 

 

写真2 ルミナリエ組織委員会のポスター

 

今回は子どもさんの「指しゃぶり」について考えてみました。指しゃぶりは日常よく見られる子どもさんの動作です。指しゃぶりはお母さんの子宮の中にいる時からの動作であり、授乳の準備運動といわれています。ですから元々、原始的な運動なのです。しかし少し子どもさんが大きくなり、それでも指しゃぶりを続けていると親としては気になることと思います。そのため、よくお母さん方から「指しゃぶりは、止めさせるべきですか」「どうやったら、止めさせられるのでしょうか」「強く指を吸うので夜中に大きな音がします」「指先の皮膚が荒れてしまって・・・・」などの相談を受けることがあります。小児科の医師は「自然に改善するから様子を見てよいのでは」などという説明をよくします、一方、歯科医師は「歯並びに影響が出るので早めに対応しなくてはいけない」などのアドバイスをする方も、よくおられます。つまり医師と歯科医師によって説明に差があるといえるでしょう。これでは保護者が相談すると、かえって混乱する事態となってしまいます。

このような現状に対し2003年、小児科医と歯科医の双方が意見を述べる機会を設けることを目的に「小児科と小児歯科の保健検討委員会」が発足しました。両者の総意がまとめられ、「子どもの歯と口の保健ガイド」として公開されました。2019年には改訂版(1)が刊行されました(1)。私は正直、本書のことをよく知りませんでした。今回、拝読して色々と考えること、教えられたりすることがありました。そこでその要点を一部だけ紹介したいと思います。

 

 

まず指しゃぶりは3歳までは見守りの姿勢で良いということです。それは自然に消失するするからです。普通は45になるとかなり減ります。したがって45歳までは見守りの姿勢が推奨されます。しかし45歳を超えても続く場合には対応を検討する必要があります。それは歯が前に出たり、口を閉めても前歯の間に隙間ができる可能性があるからです。特に6歳以降になると自然消失が期待できないので積極的に医療関係者に相談する必要があります。

次に指しゃぶりは無理にやめさせようとしないことが大切であります。考え方として「やめさせる」のではなく、「やめようという気持ちを育むこと」、これが大切な基本なのです。指しゃぶりは不安や緊張を取るための行動といわれております。つまり子どもさんにストレス等があると指しゃぶりをする可能性があるのです。ですから子どもさんに不安や緊張がないか振り返ることがまずは大切です。明るい元気な子どもさんであるか、確認することが大切なのです。強制的に止めさせようとすると心に傷を負うことにつながりかねません。穏やかに止めさせる方法として、例えば指しゃぶりをしなかった日をカレンダーにつけ、しなかった日にほめて子どもさんの緊張をとることもよいでしょう。

このように指しゃぶりについて、あらためて考えていたところ「ゆびしゃぶり やめられるかな」というタイトルの絵本(2)に出合いました。とても素敵な絵本であり、悩んでいるお母さん方には参考になる本です。        123

  

1 子どもの歯と口の保健ガイド第2

小児科と小児歯科の保健検討委員会

日本小児医事出版社 2019/03発売

 

2 ゆびしゃぶり やめられるかな

   著者 三輪康子 株式会社シエン社 

2008223