中国から新しい衛星が上がるという情報を打ち上げ当日に得たので、さっそくいろいろと情報収集。名前は CAS-5(A,B) で、数年前から計画され、IARUから早々に周波数の割り当てを受けていたようですが、番号的には後ろになる CAS-6(TO-108) や CAS-9(HO-113) の方が既に上がっています。JE9PELさんの情報によればこの衛星は親子衛星として設計されたようで、衛星通信に関わるのは親機のAの方になるようです。

 

CAS-5A は、なんとトランスポンダを4種類も搭載する計画だったようですが、打ち上げ直前にもたらされた情報によれば、V/UのリニアトランスポンダとFMレピータ、H/U のリニアトランスポンダが稼働予定の様子。H/Uのupは21M帯ですが、現在のJAでは衛星通信が行えないバンドとなっており、事実上使えません。HFでupする衛星は経験がなく大変興味がありますが、法令の定めにより残念な状態。しかし、リニアトランスポンダとFMレピータの両方を搭載した衛星というのも初めてです。飛来したときにどちらに出るか大いに迷いそうなところです。主な周波数は以下の通りとなっています。

V/U linear transponder up145.820MHz/dn435.540MHz

V/U FM transponder     up145.925MHz/dn435.600MHz

CW telemetry beacon                   435.570MHz

 

夜になって初期の予想軌道要素が入手できたので、さっそくCalsat32に取り込んで軌道予測をさせてみたところ、次のJA上空パスは深夜0時台と2時台。まぁ幸い明日は土曜日だし・・ということで夜更かし決定。既にアクセスを試みた外国局からの情報で、ビーコンもトラポンも良好とのこと、これは期待が持てます。他の四方山仕事を片付けながら、そのときを待ちます。

 

0時40分すぎ、まだ周波数制御をしていないリグから、突如ビーコンが流れてきました。あれ、予定より早い?取り急ぎoffsetをあわせると 約5kHzもズレています。TLEがあまり合っていない様子ですがとりあえずダイヤルをグルッと回すと、"出る"宣言をしていた某局の高速CQがかろうじて聞こえたので、ちょっとずらしてから慌ててloopを取り始めます。割とすぐにloopはとれたのですが、このパスはあいにく東の低いパス、建物陰のせいで断続的に聞こえてしまい、そうこうするうちに何も聞こえなくなりました。Calsat32 上の表示はまだ充分パスが残っている筈でしたが、やはり実態とズレているようです。そんな訳でJA上空最初のパスでは残念ながらQSOはできず。でもなんだかとても調子良さそうです。

 

QSOならずはちょっと悔しかったので、次のパスまで待つことにしました。次は天頂パス(MEL71度)、条件も整っています。とそこへ、NORADの最新のTLEの情報が。さっそく読み込ませてみると、最初のTLEよりたしかに3分ほど先行する予測になりましたので、こちらに差し替えることに決定。ほぼ真南から上がってくるのを待ちます。

 

2時13分、BCを待ち構えていたら、予測ぴったりの周波数(offset 0)でBCが聞こえ出しました。さっそくリニアトランスポンダからloopを取りますと、すぐにdnが確認できましたのでそのままCQ発信。TLEの情報をくれたAFZ局に呼んで頂き、この衛星での初QSOが成立。その後もCQを出し続けましたが深夜のためか他にはどなたもいなかった模様。MELをだいぶ過ぎたところでFMの様子を見に周波数を移ったところ、中国局のCQがバッチリ聞こえます。しかも未交信の方でしたのでさっそくコールしましたがタイミングが合いません。そこでこちらもCQを出したら、その方から呼んで頂けてこちらもQSOが成立。1パスで2系統が楽しめる、なんて素敵な衛星なんでしょう。ラブ もう1局お呼びしたところでほぼLOS。

 

そんな訳で、CAS-5A の第一印象はとても素晴らしいものでした。長く安定して動作してくれることを期待したいと思います。

 

(2022/12/18 追記 12月9日,CAS-5A に Oscar Number として Fengtai-OSCAR 118 (FO-118) が付与されましたので,タイトルに付記しました.)