東京・人形町で行われた、
という講習会に参加してきました。

  講師は、「動作術研究家」「骨盤おこしトレーナー」として知られる、
中島章夫先生です。







『牧神の蹄』というのは、中島先生とも親交のある中村孝宏氏の考案による、足指トレーニング用の木製ブロックで、


その著者
趾でカラダ
が変わる  


カラダが柔らかくなる「筋トレ」!  “動き"のフィジカルトレーニング  


「骨盤おこし」で身体が目覚める 1日3分、驚異の「割り」メソッド  

などでも紹介されています。





牧神の蹄を使った足趾トレーニングは、

・摘む
・摘んで運ぶ
・積み下ろし
・歩く/走る


というようなことを順に行います。


トレーニングブロックの重さは、80~100グラムと、摘み上げるのにさほど大きな力は必要ありません。


ですが、股関節を外旋させて膝を開きながら、足の小指〜中指の付け根辺りをブロックの縁(へり)に合わせ、指先を溝に入れるようにして小指の方から力を入れて掴むようにして、横方向に掬い上げるように持ち上げるのは
結構難しく、

初めはまるで脳梗塞などのリハビリトレーニングのような感じで、なかなか上手くいきませんでした。


  しかし、足の指を動かす運動神経や皮膚感覚などを総動員しながらしばらくやっているうちに、

だんだん足の指先から股関節までの繋がりが出来てきて、足趾の可動域も少しずつ大きくなってくると、比較的スムーズに掬い上げることが出来るようになります。


  こうした動きを行なった後、普通に床の上に立ったり歩いたりしてみると、

立つ時に重心を載せている位置が、踵寄りの方から足指の付け根の方へと少し移動し、

今まで使われていなかった足指がしっかりと働いて、土踏まずのアーチが出来ていることが感じられ、


 歩き方も、身体の前方に踵を着地し、爪先で床を後方に蹴って進む、という感じから、

着地後すぐに足裏全体に重心が載り、その勢いで自然に次の足が出るような感じに変わり、

動作のスムーズさや安定性が増すことが実感出来ました。


  中島先生や、他の参加者の方々の足をよく見ると、私よりも明らかに足指の可動域が大きく、まるでジャンケンの「グー」のように柔らかく足指を丸く握り込むことが出来ていて、それだけでも、このトレーニングの効果の大きさが想像できます。


  足指を意識的に使うことで感覚を目覚めさせ、しっかりとした土台をつくるためのトレーニングとして、非常に有効なものではないかと思います。



牧神の蹄を掴んで持ち上げたりしながら、足指を使うことを意識していると、自然に、大相撲の横綱・白鵬関の土俵上での足指の使い方が連想されます。






そのことを中島先生に尋ねてみると、

相撲の四股というのは、本来は、一般的に考えられているような爪先を上に向けて足を高々と上げるような動きではなく、

股を割った構えから、脚を引き上げずにそのまま身体を傾けるようにして足を浮かし、足裏を見せないようにしながら行うものであり、足を上げるように見えるのは、傾いた姿勢から支持側の足の膝を伸ばすことでそのように見えるのだということ、

さらに、そのようにして、支持側の足の膝を曲げながら荷重をかけていくと、ある程度身体が傾いたところで自然にロックがかかり、それ以上脛が傾かなくなるとともに、足指に力が入ることによって足裏のアーチが地面に引っかかって、非常に安定するのだということを教えて頂きました。


  実際にやってみると、確かに片足立ちでもほとんどフラつかないことか実感でき、これは軽速歩の立つ姿勢が安定しない方などのための改善方法として応用できるかもしれない、と感じました。





  講習会の中では、牧神の蹄の他にもう一つ、面白いトレーニングの道具を教えて頂きました。

 20〜30cmほどの、側面の一部を平らに削った丸い棒を2本、床の上に「ハ」の字型に置き、

それを両足の親指側と小指側の「MP関節」をそれぞれ少しだけ前にはみ出させるような感じで踏んで立ちます。





  そして、足裏の痛みの感覚を頼りに、胸をやや前に出すようにして、棒を踏んでいる辺りの上に重心がくるように立ちます。

  すると、普段の立ち方よりも少し重心が前に来て、踵が少し軽くなった感じの立ち方になります。


  試しに、この姿勢から腕を前後、左右に振ってみると、腕を出した方向へ簡単に身体が傾くのを感じます。

  また、この姿勢で、前に立っている人を手で押してみると、普段の立ち方で足を踏ん張って押すよりもはるかに楽に、相手に力を伝えることが出来ます。

  つまり、この重心の位置での立ち方が、最も動き出しやすく、自分の身体の持つエネルギーを効率的に利用しやすい立ち方だということなのです。


 このとき人を押す際の身体の使い方にもちょっとしたコツがあって、身体ごと相手にもたれかかろうとするのではなく、「壁を手で押して後ろに遠ざかろうとする」くらいの感じでやる方が良いようです。

(因みに、この「壁を押すように」という身体の使い方が、共通の知人を通じて甲野善紀先生へと伝わり、感心した甲野先生がこれを『謙譲の美徳』と名付けられたのだということです。)








  この棒を踏むトレーニングを行なった時、真っ先に思い浮かんだのが、「乗馬の鐙に似ているな」ということでした。

  乗馬では、拍車を使ったりする上でも鐙はもう少し足先の方で踏む方がやりやすいですし、落馬の際の安全面からも「鐙は浅めに」というのがセオリーになってはいますが、

「足裏を活かしたバランス」ということで考えた場合、もう少し深めにしてみるのもアリなのかもしれません。
  


  棒は、ホームセンターや100円ショップで手に入るようなものでもいいし、棒でなく、階段の縁などでも可能だということですが、

真っ直ぐな長い棒に両足を載せると、膝が内向きになって股関節の自由度が失われてしまいやすいので、片足ずつ行うか、2本に切って使う方が良い、ということです。

  『牧神の蹄』のような器具も技術も必要なく、比較的簡単に「動き出しのしやすい立ち方」の確認が出来る、非常に優れた方法だと思いますので、毎回の騎乗の前にでも、是非お試し頂ければと思います。