中村哲医師のタリバンの評価 | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

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https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadatoshihiro/20210909-00257209]

塗り潰された中村医師の肖像画、タリバンが指示? 幹部が語る真相

山田敏弘国際ジャーナリスト/研究者

以下引用

中村医師は、対テロ戦争で国内が戦闘状態にあったアフガニスタンで、ボランティアで医療活動や用水路の建設などを行なっていた人物だ。活動中の2019年に武装集団に殺害され、日本でも大きなニュースになった。

 

筆者はタリバンが首都カブールを制圧した8月15日以前から、タリバンの幹部らに接触して取材を行ってきた。タリバンがアフガニスタンを完全に支配しそうなタイミングには、タリバン政治部門の幹部であるスハイル・シャヒーン氏にインタビューを行なった。

 

そこで、シャヒーン氏は中村哲医師について言及していた。

 

「ドクターナカムラ(中村哲医師)はタリバンとはいい関係だった。われわれなら、彼に安全を提供し、彼の仕事を後援しただろう。だが残念ながら、彼はガニ政権(前政権)の支配下の地域にいた。私たちの支配地域にいたなら、彼ももっと安心でき、とても幸せだった。

 

だからこそ、日本政府と日本人には、ドクターナカムラの行なったような素晴らしい取り組みを続けてもらい、アフガニスタン国民の復興と繁栄のために助けて欲しい」

 

筆者の知る限り、タリバンの幹部が日本人ジャーナリストとの取材で中村医師について言及したことはおそらくこれまで一度もなかったのではないだろうか。このコメントから、タリバン側は中村氏の活動に感謝している印象を筆者は持っていた。

 

1.中村医師は、タリバンとの関係は、悪くなかったというものもいる。本人もそのような発言をしている。

 

2.中村医師は、灌漑治水事業にも取り組み農業政策に大きく貢献した

 

3.中村医師の農業に対する貢献は大きい。中村医師は、荒廃した農地を復活させ、アフガニスタンの米の生産は、国全体をカバーできるまでに達していたという。中村米と名付けけられていたとも言う

 

4.中村氏が支援していたのは、農村地帯であり地方であった。旧態依然以前としたイスラーム主義に基づいた長老主義は地方では当然であったともいえる。

 

5.地方の農村部では、荒廃した土地で、食料も収入も得られず子供や青年が、糧を得るためタリバンに参加したとも言われている

 

6.地元のアフガン人は、当然、タリバンに参加した親類縁者もいる。地元の農業復活に協力した中村医師を恨むことはない。

 

7.何故、中村医師が暗殺されなければなかったのか?カルザイ政権時には、中村医師の活動はあまり評価されていなかったという。しかし、ガニ政権が発足して以来、灌漑治水事業は、大いにアフガニスタンに貢献するとして、ガニ大統領は、農業立国を目指し、ダム建設を展開することを推進していた。

 

8.政府関係者によると、ガニ大統領は、ダム建設によりパキスタンに対する水利権の交渉を行おうとしていた。パキスタンからすれば、水資源を外交カードに使われれば、大きな痛手となる。

 

9.タリバンでも地方の農民を助ける治水灌漑事業は、歓迎されるものの、他方でパキスタンに援助されているためパキスタン側が不利になる政策は認められない。よって、パキスタンとアフガニスタンの外交の犠牲になったというのである。

 

10.本来、タリバン幹部が中村医師の事業に感謝しているとするなら、暗殺はなかったであろう。

 

11.中村医師に感謝するタリバンもいれば、そうではないタリバンもいる。タリバンが一枚岩ではないとの証にも繋がる。