トランプ政権とバイデン政権のアフガニスタン対策の争い | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

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トランプ政権=米国とタリバンは、2020年2月29日和平合意に調印した。米軍および連合軍の撤退につなげる18年にわたる戦争終結の第一歩となると評価された。

 

和平合意は、カタールの首都ドーハで行われアフガン和平担当特別代表ハリル・サド氏とタリバン政治部門トップのバラダル氏が合意書に署名した。

エスパー米国務長官によれば、和平合意の調印は、第一歩であり、現政権、タリバン、連合軍の忍耐と譲歩が必要と唱えた。長官は、ガニアフガニスタン大統領と会見し和平調印に向けて共同声明を行った。

 

合意内容が定かではないが、米国がタリバンが合意内容を遵守すならば、135日日以内に在留米軍を1万3000人から8600人まで削減し、連合軍規模を縮小に向けて取り組むとした。

タリバン側の意向は、合意後14ヶ月以内に米軍、連合軍が完全撤退することを予定していると声明を発表した。

 

調印に参加しなかったアフガニスタン政府は、停戦を実現する用意があるとし段階的な撤退を支援するとした。

 

トランプ前大統領は、バイデン大統領を非難し、ガニ政権の崩壊は、バイデン政権の米国史上最大の外国政策の失敗であると8月21の集会で批判した。且つ、バイデン政権が前政権の撤退計画を遂行しなかったことが最大の原因であるとした。

 

他方で、バイデン大統領は、ガニ政権の崩壊は、アフガニスタン政府軍とガニ政権が招いたと指摘しており、トランプ政権の撤退合意の負の遺産を引き継いだだけであるとトランプ前大統領を非難しており双方が非難しあっている。

 

 

1.トランプ前大統領は、昨年の11月の選挙で不正選挙を訴えるも大統領選に破れバイデン政権に移行した。

2.合意から14ヶ月後とは、本年4月の予定である、現在、8月であり4ヶ月遅延している。

3.合意内容は、公表されてはいないが、タリバン側が合意を遵守せず、テロを続けていたことも事実である。

4.合意内容をどちらが反故にしたのか分からないが、結果的にタリバンが軍事侵攻を行い政権を崩壊させた。

5.最もわかりやすいのは、交渉する担当者が違うのではないか?

8月16日バイデン政権大統領の政権スタッフが誤ってバイデン大統領とドーハのCIA職員とのズーム会議の模様をtwitterで写真を流した。

その写真には、CIAが表記された画像が映し出されただけでなく

職員の顔も映し出された。本来なら、職員は秘匿とされており、大失態に間違いない。

6,8月23日米国情報局ウイリアム・バーンズCIA長官とアブドゥル・バラダル師が極秘会談を行ったと報じられた。

7.この会見は双方公表はしていない。

8.タリバンとの退避交渉は、通常は、国防省関係者もしくは特別担当者が任に就くが、タリバン交渉の裏にはCIAがあり、今回,大統領との秘密会議で現地CIA職員の顔までも露出する失態を演じてしまった。

9.タリバンとCIAがどのような密談を行ったかは不明であるが、双方暴露できない裏事情があり秘密裏に交渉した可能性もある。

10.タリバン側は、撤退期限を譲らない方針を打ち出している。

一方で、米国に対し経済的支援をする義務があると要求もしている。

11.米国が、退避前にドルの使用ができないようにするため銀行の送金手続きなどを停止させた。それ故、政府軍に資金が提供できず兵士の士気が下がったとの情報もある。

12.高名な国際政治学者、の分析によるとイスラーム社会と基督教社会の不干渉の合意が前提にあると述べている。つまり、イスラーム社会は、イスラーム各国で解決すべきであり、基督教社会は、干渉しない。との方向を示唆している。

13.タリバン政権樹立に反対する北部同盟マスード長官の息子が徹底抗戦する構えを見せている。彼は、英国の軍隊で学んだ経験もある。反タリバン派が同盟を組んでも支援する国がなければ抗戦は続けられない。現在、各国の課題は、避難民をいかに安全に撤退期限までに退避させるかに絞られている。人質を残さない為だ

14.アフガニスタンの新政権問題は、先進国の撤退後に真価が問われる。どの国がタリバン政権を認め且つ支援するかにかかっている。隣国との信頼関係構築と中央銀行を含めた経済基盤の確立と産業構築が大きな課題である。

15,イスラーム原理主義に基づいた恐怖政治では、国民の信頼は取り戻せない。ましてや、どの国が行政経験のないタリバン政権を指導するのか?民族軍閥の統治は簡単には進まないであろう。