日本政府が支援した麻薬取締警察官の保護はどうなる? | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

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中東情勢を理解すると世界がわかる!日本人は中東問題に無関心だが石油の輸入依存は周知。中東問題、欧米・ロシア・アジアとの関係は、理解不能でも石油利権の考察で、複雑な関係は理解できる。そして、世界から見た日本のあり方も見えてくる。

https://jp.wsj.com/articles/afghan-says-he-spied-for-cia-now-that-he-wants-to-flee-to-u-s-he-cant-prove-it--11624505453

CIA元スパイ、アフガンに置き去り 活動証明できず

 
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 

【カブール】ラフマトさんはアフガニスタンの辺境地で約10年、米中央情報局(CIA)の極秘任務を遂行し、タリバンを偵察した。

 それを証明する契約書はなく、CIAの監督者の本名も知らされていない。米国が9月11日までにアフガンから駐留米軍を完全撤収する準備を進める今、米国のために働いた何千人ものアフガン人が反政府勢力タリバンから報復されるリスクにさらされている。

 

 「任務は極秘だったため、彼らは何も与えてくれなかった」。ウエーブのかかった黒髪できゃしゃな体つきのラフマトさんは、自分の人生を左右したCIA職員の名前を小さな声で挙げた。「一人はサントス。メアリー、ジェーソン、スチュ、ジョン」

 ラフマトさんの話は、アフガン人、特に諜報(ちょうほう)に携わった人たちが、「特別移民ビザ(SIV)」を申請する上で直面するハードルの高さを象徴している。SIVは、米政府のために働いた人を米国に移住させることを目的とした制度。契約番号や証明書、監督者の名前や住所などの詳細が必要とされる。

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日本政府は、アフガニスタンの警察官の訓練や給与の支援をしてきた。主に,海外支援をするJAICAが担当しており、男性警察官2000人女性警察官300人とされている。特に重要なのは、訓練を受けた彼らは、幹部候補生であろう。誰でもが選ばれるわけではない。日本政府は、アフガニスタンと周辺国(パキスタン、イラン、タジキスタン)間の国境管理・警察施設建設 ・欧州安全保障・協力機構(OSCE)を通じたアフガニスタン・中央アジア税関・国境管理強化支援 ・国連薬物犯罪事務所(UNODC)を通じた麻薬対策・国境管理、テロ対策法制度整備の支援してきた。

1.前回も述べたが、麻薬密売にCIAが関与し反政府勢力の資金源としてきた事は、以前から報道されていた。パキスタン側に麻薬の加工工場があるとの指摘もある。

2.タリバンが一時、期芥子の栽培を減少させたとの指摘もある。対抗する勢力の資金源を断つためだとも言われている。しかし、これまでパキスタンに支援されているタリバンが取引に関与していないとは言い難い。

3.日本政府が支援した警察官は、女性を含め国境警備、麻薬取締対策、テロ防止対策に関連する訓練を受けた。

4.当然、麻薬カルテルの存在を知らないはずがない。この取締に関わった警察官は、タリバンにとってもCIAにとっても情報を持っている以上危険な存在に変わりはない。

5.各国の大使館員やNGO,,現地スタッフを退避させるための作業が進められている。しかし、昨日、8月26日空港近くで自爆テロが発生しISが声明を出した。

6.タリバン側は、今後の政権に必要である有能な人材を海外に出せないとして、外国人以外の国外退去は認めないとしている。大義は十分であるが、実際に、現地人ジャーナリストや軍関係者が拉致されているとの情報もある。

7.タリバンとて、すべて一枚岩ではない。退避期限前なのに、ISがテロを行うのであるから信頼するすべもない。

8.人権外交を考える超党派の議連では、日本が退避させるべき現地人の中に、現地スタッフをだけでなく、危険性のある警察官も含めるように政府に要請している。

9.日本政府は、500人規模の現地人スタッフ及び関係者を退避させるとしている。その中に、麻薬取締に関連した警察官が含まれているかどうかは、解らない。米国の報道にあるように、元CIAのスパイが置き去りにされるようなことは避けたい。

10.民間航空機が乗り入れできない状況下で、自衛隊機派遣を決めた防衛省の英断は、反対意見があったとしても人道的支援からすれば、当然と言えるかもしれない。

11.現在の状況は、日本から援助を受けたNGO、協力してきたアフガニスタン関係者が、空港に入れず足止めを食らっている。

12.日本政府の課題は、退避期限までに、如何にして避難者が空港入りできるかの交渉である。直接交渉できるルートがあれば良し、しかし、タリバン首脳とCIA長官が密談をカブールで行っている以上、米国を通じて行う他ない。選択肢として、トルコ政府に依頼することもあり得る。トルコとタリバンの関係は、同じイスラーム国であり、トルコが原理主義者を保護してきたこともあり交渉ルートはある。他方で、トルコが米国支援によるアフガニスタン政府軍のトレーニングをカタールで行ってきたことも事実あるが、親日、トルコを交渉相手に選ぶこともできるかもしれない。

13.タリバン側は、各国大使館に残るように求めているが、新政権が樹立されたわけでもなく、また、各国から承認されたわけでもない。

14.銀行送金を止められた以上、政権運営もできるはずもない。つまり、米国は、退避期限の延長と避難者の空港までの安全確保、タリバンは、銀行送金凍結解除を求めチキンレースが行われている可能性がある。

15.日本政府が行う避難支援者は、必ずしも日本を選ぶわけではない。第三国の可能性も高い。一旦、第三国に引き受けてもらい。その後希望する国の査証取得も支援しなければならない。