原油価格の上昇は中東経済の再生につながるか? | 木下顕伸の日本・中東・世界情勢の解説

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中東情勢を理解すると世界がわかる!日本人は中東問題に無関心だが石油の輸入依存は周知。中東問題、欧米・ロシア・アジアとの関係は、理解不能でも石油利権の考察で、複雑な関係は理解できる。そして、世界から見た日本のあり方も見えてくる。

原油先物は上昇、景気回復期待や米ガソリン在庫減少で

 

1.原油価格の上昇は産油国の経済の安定に繋がるのか?

 

2.例えば各国予算はそれぞれ違う 。 仮に100万バレル20ドルの利益があったとしよう。 利益は2000万ドルである。 減産により輸出が50万バレルになったとしよう。 バレル20ドルの利益とした場合1000万ドルである。 ただし40ドルの利益があったとすれば、 50万バレルの輸出でも 同じ2000万 ドル の利益になる。

 

3.イラクを例にあげると為替も重要問題である。 前段を例にして考えると、 仮に 1ドルを100 ディナールとした場合 20億ディナールとなる 1ドル50 ディナール の場合 10億 ディナールとなる。 当然 ディナール 安の方が有利になるのは当然である。 ただしディナール安になると 輸入がダメージを受けインフレ を招き 物価の上昇が 経済を不安定にする

 

4.イラクの石油依存型経済の国家予算は、 輸出量と利益に比例する。つまり国家予算が2億ディナールの場合国家予算の 損益分岐となるが 国家予算がそれを上回った場合 経済は、回復しない。

 

5.IMF の統計ではイラクの財政均衡に必要なのは1バレル当たり64ドル である 。イラクの財政収入の9割が原油輸出である 。

 

6.イラクの 生産コスト は 26ドルと言われている つまり38ドルが利益となる。因みに現在の 原油 価格は、65ドルを推移している。原油高により歳入は増えるが 極端なディナール安はインフレを招き経済の安定は難しい。イラク政府は、2割ディナールの切り下げを行った。

 

7.2019年度のイラクの国家予算1118億ドルの9割=1006億ドル÷65ドル=155000万バレルの年間輸出が必要になる。

1日あたり400万バレルを生産し365日輸出したとする。年間146000万バレルとなり、900万バレルの輸出不足となる。つまり、外貨準備高不足となり、イラクでは、65ドルでも財政赤字となる。

 

8.イラクの国家予算の9割が原油に依存している。1割が他の税収によるもので石油依存型経済から脱却するには、税収改革、産業構築、4割が公務員と言われている公務員改革も必要であろう。