謙讓語については、すでに前々囘の記事で説明した。ただい、「まゐる」と「まつる」、「たてまつる」については、補助動詞の時の譯しか説明してゐない。本動詞のときの解釋を次に述べる。


まづ本動詞の「まゐる」、これは「さしあげる」か「御食べになる(召し上がりになる、でも良い)」と譯す。どちらに成るかは文脈次第。明らかに食事の話ではない時は「御食べになる」と譯すんぢやないよ。


次に本動詞の「たてまつる(奉る)」、これは「さしあげる」か「御着になる(御召しになる)」、「御乘りになる」と譯す。どの譯かは文脈次第。


さいごに本動詞の「まつる」、これは敬語ですらないぞ。「祀る」か「祭る」だ。そのままで、譯す必要さへない。「申し上げる」なんて譯すなよ。


最後に、會話文に「候」か「侍」が出て來たら叮嚀語だ。ただし、「侍」は「さむらい」ぢやなくて「はべる」の方だぞ。


これで古文の敬語講座を終る。活用とかの話もあまりなく(「たまふ」だけ)て簡單だつたでせう。古文に主語が書かれてゐなくても、かうして敬語を確認すれば、誰の事だか檢討がつく筈だよ。


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