観察処分の取消判決:判決の重要な事実認定、名誉棄損、外部監査の結果など | 上祐史浩

上祐史浩

オフィシャルブログ ―― 21世紀の思想の創造

●判決文が明確に否定した、ひかりの輪と麻原の関係

 

 9月25日の東京地裁の公安調査庁・公安審査委員会によるひかりの輪に対する観察処分を取り消す判決を受けて、これまで、4回にわたって記事を書きましたが、今回は、その判決分の具体的な内容をご紹介します。それは、ひかりの輪の説立は、麻原の指示による麻原隠しの団体である、という公安調査庁・公安審査委員会の主張を以下の通り、明確に否定しています。


「(前略)引き合いに出された松本の発言が、Alephtと原告(=ひかりの輪)の分派を念頭に置いて発言したものではないことは明らかである。以上の通りであって、原告の設立は(中略)松本の指示に従ってされたものであるとまでは認めることが出来ない。」(判決文94p) 

 

 

 なお、ひかりの輪の設立は麻原の指示に基づく麻原への絶対的な帰依によるものではないという点に関する団体側の主張は、こちらに詳しく紹介しています。http://www.jo

yu.jp/hikarinowa/overview/02_2/0045.html 

 

 

「原告(ひかりの輪)の設立に当たって制定された「基本理念」では、松本に対する絶対的な帰依が否定されており(中略)、哲学教室への変革を標榜するようになった。これに対してAlephは、原告の分派後、むしろ、松本への帰依を深めるようになっており、少なくとも表面的には、原告とAlephの性格は相当に異なるものになっている。この点について、原告とAlephが相互に連絡を取って役割分担をし合っているというべき事情はないし(中略)、原告が、Alephからの退会を検討する者の相談を受けるなどしたり、Alephに関する著作権問題についてオウム真理教犯罪被害者支援機構に協力したりしていることからすると、むしろ、原告とAlephは対立関係にあると評価することが出来る」(判決文p95)

 

※注:公安調査庁は、ひかりの輪とAlephの大きな違いは両者の間の役割分担だと解釈しているが、判決が言うように、そう判断すべき具体的な事実・証拠は示していない。

 

 こうして地裁判決が認めたアレフとひかりの輪の活動形態の相当に大きな違いの詳細に関しては、こちらをご覧ください。http://www.joyu.jp/hikarinowa/overview/02_2/0020.html また、この違いに関連して、ひかりの輪が行ってきた脱麻原・アレフ(旧オウム)、反麻原・アレフの様々な活動の詳細は、こちらをご覧ください。http://www.joyu.jp/hikarinowa/overview/02_2/0042.html

 

 

松本(=麻原死刑囚)が原告(=ひかりの輪)の代表者及び主宰者であるとはいえない(中略)以上の通りであって、原告(=ひかりの輪)とAlephが一つの組織体として(中略)共同の行動をとりうる関係にあると認めることはできない」(判決文97~98P) 

 

※注:公安調査庁は、観察処分の対象団体は、麻原を代表者及び主宰者とする団体と規定しており、ひかりの輪とアレフが共に麻原に帰する一つの団体(オウム真理教)とみなしている。

 

 そして、地裁判決は、公安調査庁・公安審査委員会の全ての主張・証拠と、こうした団体側の主張・証拠の双方を精査し、上記の結論に至っています。

 

●公安調査庁・公安審査委員会の名誉棄損行為

 

 そして、この判決によって、公安調査庁(及び公安審査委員会)が、観察処分に関連して、これまでに報道機関・官報・自己のHPなどを通して、ひかりの輪をアレフと一体であるオウム真理教であると主張していることや、麻原の指示で設立された団体であり、麻原隠しをしているとする主張は、名誉棄損に当たることが明らかになりました。

 

 その一部に関しては、団体は、同じ東京地裁における別の裁判として、公安調査庁・公安審査委員会を相手取った名誉棄損の裁判を行っている最中です(ただし、名誉棄損の事実を明らかにして名誉の回復を主目的としているので、請求している損害賠償は数円となっています)。

 

 この判決も、来年には出ると思われますが、観察処分の取り消しの裁判と本質的な部分が重なるものですから、今回の取り消し判決に続いて、公正な判断が期待されます。この裁判の詳細はこちら http://hikarinowa.net/public-info/blog/2014/post-53.html

 

●ひかりの輪の外部監査委員会の判断:地裁判決と同じく、観察処分の要件に当たらない

 

 さらに、先日の11月2日には、法学部の教授・伝統う宗教の指導者、元公安調査庁職員などで構成される、ひかりの輪の外部監査委員会が開催され、その中で、地裁判決と同様に、監査委員会の判断としても、この3年間の団体の監査の結果、団体は観察処分の要件には当たらないという判断を頂きました。

 この外部監査委員会は、ひかりの輪が自主的に設置したものであり、監査委員を中心として、外部の宗教学者・会計専門家など様々な方の協力も得て、団体の各行事・教材・施設・会計・執行部(役員会)などを網羅的な監査してります。

 

 今回の監査結果は、11月下旬に正式に発表される予定ですが、3年前にも同様な判断を頂きました。外部監査委員会のHPと、3年前の監査結果の詳細はこちらhttp://hikarinowa-gaibukansa.jp/report/2014/11/2014report.html

 

●今後の見通し

 

 しかし、報道によれば、公安調査庁は、11月中旬にも、来年1月で期限の切れる観察処分の更新を(公安審査委員会に)請求するそうです。ただし、報道にもある通り、仮に公安審査委員会が更新したとしても、地裁の次の高裁での控訴審を経て、判決が確定すれば、それは無効になります。

 

 公安調査庁・公安審査委員会が、地裁判決が指摘した、証拠に基づかない事実に反した主張を続けることは残念に思いますが、名誉棄損に限らず、立ち入り検査などを含めた観察処分は、(違法であれば)既に10年間に渡った長期間に及んだ、広範で重大な反復された人権の侵害に他なりません。

 

 そのため、団体としては、行政訴訟や民事訴訟などを含めた、適切な法的な手続きで、対処せざるを得ません。この点につき、皆さんのご理解をいただけますようにお願いします。

 

●関連記事:観察処分の問題に関しては。こちらもお読みくださると幸いです。

 

地裁判決に関する団体のコメント(公安調査庁の証拠の捏造・歪曲の問題、それを見抜けない公安審査委員会の乏しい審査体制の問題などを含めて書いています)

 

http://hikarinowa.net/public-info/blog/2017/post-59.html

 

 

公安調査庁が観察処分の運用で法の拡大解釈をしている事実=共謀罪の乱用にも関係

https://ameblo.jp/joyufumihiro/entry-12320519499.html

 

公安調査庁の主張・証拠の問題点:金銭誘導・出世欲で虚偽の証拠が作られる

https://ameblo.jp/joyufumihiro/entry-12320533123.html

 

公安調査庁に関して懸念される陰謀炉的な体質

https://ameblo.jp/joyufumihiro/entry-12321022846.html

 

公安調査庁が団体に対する違法な調査を行って有罪判決を受けた事例

https://ameblo.jp/joyufumihiro/entry-12006755282.html