【今日の記録】興味が湧かなかった本、急に動揺した。 | 「今日」という日を覚えていたい

「今日」という日を覚えていたい

今日、一番印象的だったことの記録です。

今、井上靖著「しろばんば」という本を読んでいる。

 

仕方なく読んでいる。

 

 

眼精疲労がひどくなり、

 

空を見ると、いつも黒いコバエが飛んでいる。

 

飛蚊症というらしい。

 

パソコン、スマホの使用は最低限にしなければならない。

 

それで、時間が空くと読書している。

 

これまでなら、途中でやめてしまうような本でも

 

もったいないから開く。

 

 

眼が疲れるのに、

 

なんでブログを書いているのか。

 

今日を記録しておきたいのだ。

 

 

何もかも、年齢の影響だ。

 

年齢が、私の行動を変えている。

 

でも、変化は好きだ。

 

 

さてさて、「しろばんば」。

 

井上靖さんは、鳥取県日南町に疎開していたらしい。

 

去年、仕事で日南町にいき、一度読んでみようと思った。

 

 

読み始めて、

 

なんてつまらない小説かと思った。

 

昭和の初めころの、日本の田舎。

 

筆者の幼年時代を描いたということだが、

 

因習が深く、

 

みんな、意地が悪い。

 

親類縁者で、悪口ばかり言っている。

 

大人も子供も、日常に「特別なこと」をもとめて

 

噂ばかりしている。

 

 

子供たちは、お祭りや地域の行事、慶事に弔事、事件に

 

びっくりするほど入れ込み、興奮する。

 

 

読みたくないと思ったが、

 

テレビもパソコンも見ない方が良いので、

 

時間があると、せっかく買ったのだからと本を開く。

 

 

そして今日、

 

主人公の少年の、憧れていた年若いおばさんが

 

肺の病気で、急に亡くなった。

 

 

読んでいる、この私が、

 

激しく動揺した。

 

 

この感情は何か?

 

他の小説では感じない、

 

まるで自分の身近な人が亡くなったような

 

動揺が起きた。

 

 

ああ、うっとおしいと思ってしまうこの物語の中の人たちと

 

知らず知らずに

 

思ったよりもずっと深く

 

関わっていた!

 

 

現代の日常では、

 

プライバシーが最大限に重要とされながら、

 

SNSでは、実名も明かさずに言いたい放題といった状況だが、

 

この小説に出てくる人たちは、

 

生身で、悪意も善意も心配も、ぶつけあっている。

 

「体温」があるのだ。

 

 

本の後ろに

 

「なつかしい郷愁とおおらかなユーモアーの横溢する

 

永遠の名作」と書かれている。

 

 

名作の力を

 

思いもしなかった心の動きで知らされた。

 

 

今日の、記録でした。