歌劇「400歳のカストラート」

東京文化会館にて、無事、初日を終えました!
出演者の皆様、スタッフの皆様、全ての関係者の皆様、そしてお客様、本当に本当に、ありがとうございました!!

私にとっては…本格的に裏方に徹した初の舞台。
脚本・演出・美術を担当させていただきました。

歌と演奏と語りが融合し、別世界が生まれてました。
とにかく、皆々様に感謝です!!

自分の出演する舞台の場合、開演前の緊張はハンパなく、倒れそうになるほどですが、舞台が始まると劇世界に没入するため、緊張は吹っ飛び、劇が進むほどにアドレナリンが放出され、心とカラダが劇と一体化します。

しかし今回は違った。手掛けた舞台を客席で見守るという不思議な情景。そして始まっても落ち着かない。終わるまで緊張。手に汗を握り、祈るような思いで舞台を見守りました。参観日の母親はこんな気持ちなのだろうか…笑。けれどそれは決して不快なものではなく、かといってものすごく心地良いわけでもなく、実に不思議な感覚で、未知の世界!でした。

とは言え、演者さんは本当に素晴らしかった!スタッフの皆さんの仕事も素晴らしかった!!

そしてお客様!
観客が舞台を完成させる…という状況を全神経で実感した感じでした。

どの歌も演奏も語りも素晴らしかったのですが、ピアニッシモな弱音になったときのあの空気感!!あれほんと凄いよ…。あれだけの人数の観客が、あれだけの小さく繊細な音に耳をすましたときに生まれる空気感。あればかりはどんなにテクノロジーが発達してもCDや映像などに記録できないものだと思う。人間と人間の波動がつくり出す空気感。それを生み出す劇場という空間は偉大です。それもこれも、演者の力と素晴らしいお客様が出会ってこそ生まれるものですが。

普段は開演前に顔馴染みのお客様とロビーで会ってお話…なんてできないのに、今回はそれができました。声をかけてくださった皆さん、ありがとうございました!お会いできて嬉しかったです!

最近は大劇場公演での終演後はサイン会も行わなくなり、舞台上からのフォトサービスでのみお客様と少し触れ合い…という感じですが、今回は終演後もロビーでお客様にお会いでき嬉しかったです。お待ちいただいた皆様、ありがとうございました!!




仕込み中の舞台の様子。

第1幕で歌唱される
「こうもり」より《お客を呼ぶのが好き》の情景。

字幕は違う場面の字幕です。

藤木大地さんの歌がよりアグレッシブになり、場内が沸きました。




照明の演出、凄かったんです…。
場面ごとに別世界が生まれました。


こんな情景も…。
こちらもリハーサルの様子です。

第2幕冒頭
圧巻の演奏!
ヴュータンの《アメリカの思い出》「ヤンキー・ドゥードゥル」
休憩後、観客を一気に劇世界へと誘います。







ときにはモノトーン。







こちらも仕込み中の様子です。

戦後の焼け野原を表現する場面。
蜘蛛の巣のモニュメントも、光の力で別物の印象となりました。







復興を描く場面では、歌と音楽、そして光によって、勇気や希望が描かれました。

藤木大地さんの歌う「鷗」(三好達治さんの詩に、木下牧子さんが曲をつけた作品)
以前、大地さんのコンサートで聞いた際にも深い感動を得ましたが、この舞台で、この場面で歌われたとき、歌のメッセージがダイレクトに伝わり、身震いするほどの感動でした。

照明チームとも、この場面はこだわりました。

この会場はあくまで音楽ホール。
演劇用の会場ではありません。
照明のための回路や仕込める台数もとてつもなく限られているのです。
ムービングライトを多数導入しつつ、このホールの空間を生かしつつ、照明家の稲葉直人さんのマジックで諸々の課題が乗り越えられてゆきました。







小道具にも、こだわりと遊び心が。

「こうもり」を歌う場面で、主人公ダイチが劇中劇として演じるオドロフスキー公爵が手に持つシャンパンとワインの瓶。よく見ると、テアトル・ド・マリー(旧シアター・ジョウ)のロゴや、私の名前や生年月日、マリオネットの絵柄が…。私は色や装飾の方針こそ指定していたものの、小道具製作の「ザ・スタッフ」さんの最終的な遊び心に驚きました。







終演後の演者さん一同とのショットです。

左から…
チェロの笹沼樹さん。
ヴィオラの田原綾子さん。
第2ヴァイオリンの坪井夏美さん。
私。
第1ヴァイオリンの成田達輝さん。
主演のカウンターテナー藤木大地さん。
朗読の大和田獏さん、大和田美帆さん親子。
音楽監督&ピアノの加藤昌則さん。

この人数で、人数以上の濃厚な劇世界を創り上げてくれました!

皆さんそれぞれが劇世界を噛み締め、1秒1秒を大切にしながらパフォーマンスをしてくださいました。

「演奏しながら泣いたのは初めて。涙で滲んで楽譜が見えなくなる…」と演奏者さん談。音楽そのものが感動的なですが、物語とあいまって、その感動が深まりました。

藤木さんの歌声はこの世のものとは思えない。まさに、美しい…。かなり無理のあるファンタジードラマを説得力あるものにしてくださったのはあの歌声のおかげです。

加藤昌則さんの編曲が素晴らし過ぎた。ピチカートフェチの僕としては、ここぞというところで入るピチカート奏法(弦をはじく奏法)。ヴィオラの音の魅力も随所にちりばめ、それぞれの楽器の魅力を際立たせた編曲。朗読に寄り添った編曲。鳥肌の連続でした。

大和田美帆さんの楽しい演じ分け、そして演者として少しだけカラダでも演技をしていただいたオリヴィアの艶やかさ。美帆さんにピッタリでした!

そして極めつけ…
大和田獏さんの温かい語り。大御所の本領発揮!人物の背景を瞬時に感じさせる語りと、思わず聴き惚れてしまう説得力のあるナレーション。流石でございました。

この作品が再演を重ね、全国・全世界の各地へ旅立つことを願っています!

さぁ…
今週末、
私は裏方から、出演者に戻り、愛知県武豊町にて「毛皮のマリー」です。

この「400歳のカストラート」での裏方経験を経て、今週末の「毛皮のマリー」はこれまでとは別物になる予感。愛知県の皆様!お会いできるのを楽しみにしています!!

その後は、次なる裏方のお仕事も控えております。某劇団の新境地のお手伝いです。そちらも楽しみ!またお知らせいたします。

皆さん、おからだご自愛を!