「かもめ食堂」、「めがね」と来て「プール」。

小林聡美ともたいまさこというキャストもあって、

いずれも似たようなテイストでもあらんかと思っていたところが

いちばん「?」だったのが「プール」だったかなと。


それだけにストーリーさえよく覚えてはおらなかったものですから、

日本映画専門チャンネルで放送され(録画し)たのを改めて見たと言う次第です。


プール [DVD]/シッティチャイ・コンピラ


すると、「わかる」とか「わからない」とか、

前回見たときにはなんだってこうした物差しを当ててしまっていたかなと我ながら「?」。

おそらくは今日ただいまの自分は昨日の自分とは違いますし、

明日にはまた違う自分になっているという当たり前のことに由来するのだとは思いますが。


でもって今回思い至ったところは、

この話の舞台がなんだってタイのチェンマイなのかなということに絡んで

「懐かしい感覚」というのは過去に遡らなくてもあるということでもありますね。


ひと頃よくあった「昭和」を懐かしむような映画の場合、

間違いなく時間を巻き戻したところに没入することによって「その気」になるわけですが、

時間軸でなくて空間の移動でもってそれがある程度達成できる、

たぶんタイのチェンマイはそんな場所のひとつであったように思うのですよ。


もちろん店の看板はタイ語だらけで、これを懐かしがるかといえばそうではないでしょうけれど、

過去を模した実物まがいにも違和感がないではありませんから、どこをどのように

受け手の側の想像力と感受性でカバーするかでもあります。


また、過去はどんなに思っても過去で戻りようがありませんけれど、

例えばタイのチェンマイだったら行こうとして行けないことはない。

それだけに押しつけられただけではない思いを抱ける気がしたりもするわけで。

(もっともチェンマイには一度観光ではない添乗で行って、暑かった記憶しかありませんが、笑い)


ところで、そんなふうな思いに至ったのは、

映画に使われた歌がトリガーになっていたように思います。

京子(小林聡美)がプールサイドでひとりギターを弾きながら歌う「ミナモ」という歌。

(映画の主題歌としては「タイヨウ」というらしいですが、同じ歌をここでは「ミナモ」というのだとか)


これが何度聴いても(Youtubeで聴けるものですから)「こりゃあ、70年代フォークだよ…」と。

ぼそりと語り口調的につぶやくように歌うのもその印象を強めますですなあ。


ですので、てっきりその当時のフォークシンガーにでも作ってもらったのかと思えば、

「ハンバートハンバート」というデュオ。お二人とも年代的には70年代はしっかり子ども。

当時のフォークを(後追いなら別ですが)およそ聴いていたとは思われないわけです。

が、こんなメロディー作りをする人たちがいたのですなあ。ふ~む。

考えたら、これも時間を遡らなくてもいい懐かしさかあとも。


と、前にみたときに何故この部分に気が回らなかったのか、我がことながら不明ですが、

映画の雰囲気に輪を掛けてこの音楽でも、具体的というよりは漠然とした「懐かしさ」を

たっぷりと感じることになったのでありますよ。


だからというわけではありませんが、ふと両親の顔でも見て来るかと思ったり。

あれやこれやの土産物が買ってきたままになっていますし、

甘いもの好きな父親にはちょうど鯛生金山羊羹 がありますしね。


ということで、仕事帰りに両親のところに行ってまいりますので、

明日はお休みいたしまする。



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