新宿に出向くと毎度立ち寄るコニカミノルタプラザ
を今回も覗いてみたのですね。
二つの写真展が開催されていて、ひとつは「虹色の絶景」というタイトルでありました。
「虹」という自然現象を目の当たりにしたときに、
特に昔の人にとっては出現する理屈の分からなかっただけにもはや神の成せる業とも見え、
神々しく感じたりもしてのではないでしょうか。
そうでなくとも、大空に弧を描き出す七色のグラデーションを「きれいだな」と感じる心性は
(何故だかは分かりませんが)万国共通でもあるような。
ちなみに「虹は七色である」とは誰しも特段の疑問を持つことなく受け止めているところながら、
これを広めたのはニュートン
なのだそうですね。
それまでは赤、黄、緑、青、紫の五色という見方が一般的であったところに
橙色と藍色を加えて7色としたのがニュートンだと。
これは「ラッキーセブン」などという言葉がありますように、
数字の「7」が神聖な数である、幸福をもたらすものであるてな考えが
古来西洋にはあるようなので、それに合わせようとしたのやもしれませんですね。
実際にはグラデーションですので、何色だと決め付けることはできないわけですが…。
ところで、虹は太陽光が空気中の水分を通り過ぎるときにできるスペクトルが見えているものですから、
条件さえ整えば、いわゆる虹らしい虹でない「虹のようなもの」もあったりするようで。
例えば雲の中にスペクトルの滲んだような色合いが見える「彩雲」というのがあるという。
日本では古来吉兆とされ、仏教では「仏様が現われる際に一緒に出現する」として
「五色の彩雲」と呼ばれたのだとか(日本でも昔は五色なのですな)。
ほかに「環天頂アーク」というのは「逆さ虹」と言われるだけに、
天頂に向かって弧が開いた形で現われるものであるそうな。
「太陽の高度が約32度以下のときしか見られない」というレアものらしいですが、
予備知識なくそんなのを見たら、「すわ、天変地異か?!」と思ってしまいそうです。
言葉が似ている「環水平アーク」の方は虹のような光の帯として出現するもので、
こちらは太陽の高度が58度以上のときにだけ現われるそうな。
さらには「月虹」というもの。「白虹」とも言われるようですが、
月の光でできる虹ですので、光が弱いために白っぽく見えることからのネーミングかと。
とはいえ、月の光といっても太陽光が月に反射しているので、基本的にはおんなじですなあ。
ハワイのマウイ島ではこの「月虹」がよく観測されるそうでして、
ハワイ土着の考え方でも「先祖の霊が祝福をもたらしてくれる」と受け止められているとは、
やはり「虹」を有難がるのはいずこも同じと言えましょう。
ということで「虹」が神聖で有難い、そしてきれいだと感じるところからしてですね、
本当の虹ではなくても、レインボーカラーのような色彩が眼に映る光景というのは
神秘的であり、きれいだなと思えたりするのではなかろうかと。
展示では自然の造型の妙として不思議とカラフルに見える絶景をいくつか紹介しておりまして、
有名どころとしてはアメリカのイエローストーン国立公園にあるグランド・プリズマティック・スプリング、
そして全く知らなかったところでは中国の張掖丹霞地貌などの写真を見れば
「ほぉ~!」と感嘆しきりなのでありますよ。
いずれも実際に出かけて行って直に見てみたいものだとも思いますが、
2002年に知られるようになったばかりという張掖丹霞地貌でさえ、
すでにツアーが組まれていたりするようですから、
行けば行ったで忍野八海 状態かと思うのと引けますねえ…。
と、もうひとつの写真展の方にも触れるつもりだったですが、
長くなってしまいますので、また別途の折にでもということで。