かつてカラヤンのアシスタントを務めながら、雇用主が帰天すると公然と古典型対向配置で演奏するようになったのがクリスティアン・ティーレマン(1959年生)です。

クラシック音楽に関しては、私はバリバリの保守なので、ティーレマンの復古的で保守本流の指揮にはいつも感動しています。

 

ヴァーグナー然り、2019年に初登壇となったヴィーンフィルのニューイヤーコンサートでは往時の薫りを感じさせる保守本流の指揮ぶりに深い感銘を受けました。

その後、NHKのBSチャンネルでリヒャルト・シュトラウス(1864~1949)の歌劇『影のない女』を録画して鑑賞したところ、定番とされるカール・ベーム(1894~1981)とは異なり、ヴィーンフィルに奏でさせた往時の響きに深い感銘を受けました。

 

賛否はありますが、私が選ぶティーレマンのベスト盤は、当時首席指揮者をしていたミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団を指揮したブルックナーの交響曲第5番(原典版)です。

古典型対向配置が功を奏し、第4楽章では左の第1ヴァイオリンと右の第2ヴァイオリンの掛け合いがしっかり収音されており、ブルックナーの対位法の扱いが頂点に達したことを示す名曲でもあります。

第4楽章の高揚感はゲオルク・ティントナー盤といい勝負です。