私は日本のカレーが1番好きだ。オシャレなタイカレー、種類豊富なインドカレーも美味いがやっぱり私は素朴な家のカレーライスが1番好きなのだ。


薄暗くなった学校の帰り道、どこからかカレーの匂いがしてくるとたまらなく恋しくなったし、それが自宅だとわかった時の嬉しさといったらそれはもう、天にも登るような気持ちになった。


私は好き嫌いが多く、特にピーマンは何があっても口を開けない子供だった。なので母は好きなカレーにピーマンを入れた。

うちはとても裕福とは言えない家だった。どんどん貧乏になる一方で、徐々にいい肉なんて買えることはできなくなった。

だから母は肉のかわりにカレーにスパムを入れた。


私は中学の時に1度だけ台所のテーブルをひっくり返したことがある。原因はカレーだ。

「こんなまずいカレーあるかよ!」

そう喚いてひっくり返したら母は泣いた。そして父に思いきり殴られ、私は家を飛び出した。

ピーマンや肉の代わりにスパムが入ってることが当時の私には許せなかった。他の家みたいな普通のカレーが食べたかった。今思い返すと、他とは違う裕福ではない自分の環境をカレーに重ねてたのだと思う。


1人で夜景を数時間眺めていたが、やっぱり腹が減ってきた。カレーが食べたかった。

なんて謝ればいいんだろう、どんな顔して帰ればいいんだろう、答えが見つからないまま家へ着くと、母は

「食べるねぇ?」

普通に聞いてきた。

「食べたくなかったら食べなくていいんだよ?」

父が意地悪な笑みを浮かべながらそう言った。

弟たちはチラチラ見て見ぬふりをしながらテレビゲームをしていた。

「ごめんなさい」

そう言ったらたくさん涙が出てきた。そして意地を張らずにカレーを食べたらすごく美味しかった。


私は日本のカレーが好きだ。

私は私の素朴な家のカレーライスが1番好きなのだ。



そんなうちのカレーライス

うちの店で食べれます🍛

っていう宣伝 笑