2017-10-19

女の一生

テーマ:映画
ステファヌ・ブリゼ監督『女の一生』をマスコミ試写会で拝見。モーパッサン作の文学作品を写実的に映画化した、力作です。
写実的、とわざと書きましたが、写実極まり、ある意味実験的と言えるほどまでにモーパッサンの精神(何をジャッジするでもない、ありのままの人間たちを描く)と19世紀を再現した、凝りに凝った映画になっています。ブリゼ監督は、前作『ティエリー・トグルドーの憂鬱』とはまったく違う時代や主題を扱いながら、人間に肉薄するということでは全く同じ、確信的な強さをもって本作に取り組んでいる様子です。

音楽は地味にしか使われていないのですが、その19世紀的ピアノ曲が、一度聴いたら忘れられない! チェンバロに近い音色というか、長いこと調律していないピアノのようなというか、今のわれわれが知っているピアノの音色とはまったく違う音でのピアノ演奏で、このあたりにもきっと、凝りに凝った考証の裏付けがあるに違いない、と推測しました。
(後で追記:プレスリリースの、監督インタビューの中にちゃんと書いてありましたが、ピアノの原型となるフォルテピアノという楽器をチェンバロ奏者が弾いているそうです)

物語はというと、極めて非文学的に身も蓋も無く説明すると、サイコパスの夫と、それが遺伝したサイコパスの息子を持つと大変ですね、というような内容。

情緒的に観たならば「暗くなる、悲しくなる映画」ですが、19世紀初頭というフレームがありながらもここまで人間を描ききったブリゼ監督に「人類の希望を見いだした!」とでもいうような、私にとっては明るい勇気を貰えた作品でした。

『女の一生』は、12月9日よりロードショーだそうです。












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