2018年10月31日のこのブログでテスラについて筆者が考える二つの疑問点を書きました。①電動ポップアップタイプのドアハンドル、②モデルXのリア(後部座席の)ファルコンウイングドアです。いずれもその安全性についてでした。
https://ameblo.jp/johnny469ma/entry-12415747627.html
ポップアップタイプのドアハンドルでは、事故時に外部からの救出性です。つまりドアの内部に格納されたままのドアハンドルでは、外からドアを開けられないのではないか、あるいは開けにくいのではないか、という疑問。
ファルコンウイングドアとはガルウイングドアの一種で、上部に跳ね上がるのですが、これも事故で転倒した場合、ドアが開かなくなる危険性があると指摘しました。
去年、2020年12月に韓国でテスラ モデルXの事故があり、一人が死亡、二人が負傷したというニュースがありました。
記事によると、テスラ モデルXのドアハンドルとリアドアの形状の両方により、救出が遅れたとなっています。ニュース記事を参照してください。
https://korea-elec.jp/posts/20121806/
筆者が問題だと思ったことが、現実に死亡事故のつながってしまったのだ、と思いました。どんなタイプのドアにも、どんなタイプのドアハンドルにも、事故時におけるリスクは存在します。しかし、一般公道を走るクルマには、そのリスクをできるだけ低くした構造を取るのが、自動車を製造・販売するメーカーの責務ではないでしょうか。
記事によると、フロントドアには(仮に何らかの原因で電力が失われたとしても)外部から機械的に開けられる仕組みがあったとなっています。(筆者は知りませんから、事故に出くわしても救出活動できません。)それは当然のことで、リアドアも機械的に開けられるようになっていなければ、と思います。
転倒に対する備えもしかりです。テスラのホームページには電池のパックが床下に敷き詰められているため、重心が低く、転倒の可能性は低いと書かれています。でも転倒しない訳ではありません。道路には乗用車だけが走っている訳ではありません。バスもあれば、大型のトラックも走っています。高架もあれば峠道もあります。リスクは思ったよりも高いと考えます。もう一度言います。転倒した時には、ガルウイングドアを開けるのにはより多くの労力が必要になります。
記事には、外部から開けられるドアハンドルをデフォルトにすべきとのコメントが載っています。全く同感です。
と再度考えていたところ、テスラ以外にも電動格納タイプのドアハンドルを装備した車両が存在していました。レンジローバー・ヴェラール、イヴォーク、そしてメルセデス・ベンツ Sクラスです。(レンジローバーは「ディプロイメント・ドアハンドル」、メルセデス・ベンツは「シームレス・ドアハンドル」と名付けています。)
いずれもデザイン性と風切音を低減を謳っています。しかし、もしもの時の安全性に言及はしていません。何らかの対策はしているだろうとの予測はできます。そういうことこそメーカーはキチンと説明すべきでしょうし、メディアも指摘すべきだと思います。しつこく食い下がるべきです。
レンジローバー・ヴェラールの開発ドキュメンタリー番組で酷寒の状態でのポップアップ性のテストをしている場面がありました。雪で凍り付いてしまった時にポップアップしてくるか、という試験です。その時は無事ボディ面から浮き上がってきました。けれどこれが数年後、クルマが経年劣化して行った時にも、果たして問題なくポップアップしてくるでしょうか。疑念は尽きません。
大事なのはリスクを減らすことです。電動でポップアップするタイプのドアハンドルは、グリップ式より高リスクだと思えます。
ガルウイングドアはもちろん述べた通りです。
これからのスタンダードになるのか、それとも消え去って行くギミック・テクノロジーか?少なくともここに取り上げたような高級車には関係のない筆者だけに、興味津津です。