古い話ですが、僕は大学3年生の時に、USCPAの勉強を始めました。
色々あって、結果的には学生の時には取得できずに、社会人になってから取ったのですが、学生の頃に取っていたら違っていたかな、と思ったりすることが時々あります。
そこで、
今回は、大学生こそUSCPAを勉強したらいいのではないか?と思う点について記事にします。
世界で一番勉強していない日本の大学生
やりたいことがないまま就職活動
やりたいことないならUSCPAを勉強すれば??
USCPAにない科目
金融に行きたいならUSCPAは悪くない
USCPAで早いうちから英語に触れる
世界で一番勉強していない日本の大学生
理系と文系でも、状況は違うと思うのですが、
色々な調査を見ていて、日本の文系学部の大学生が世界で一番勉強していないのではないかという気がしています。
少なくとも、
「大学時代は廃人で、勉強した記憶がほとんどないんだよね~」
なんて笑っているのは、日本人だけのような気がしていますw
海外の大学生は夏休みなどのまとまった休みにバイトをすることがあっても、日常的に勉強時間を削って、或いは授業をサボってバイトしているようなことはあまり聞きません。もちろん、大学のレベルによっても違いますが…。
最も、それで卒業できてしまう大学制度と、その後の進路に困らない一斉の就職活動制度が問題なのかもしれないですが…。
やりたいことがないまま就職活動
そうこうしているうちに、多くの人が、特に何をやりたいがわからないまま、就職活動に突入します。
そしてあろうことか、あまり考えずに選んだ最初の会社を早期に退職して、第二新卒などと言って転職活動をしています。
挙句の果てに、
「1社目なんて社会を知らないで入っているんだから、意味がなく、肝心なのは2社目」みたいなことを言っている人も出てくる始末。
せっかく、大学の4年間(人によっては5年間?)も自由な時間があるんだから、多少は将来の役にたつことをやっておけばいいのに、って思います。
別に、遊ぶなっていうわけではないんですよね。
将来のための勉強をしながら遊べ、ってことだと僕個人としては思っています。
そんな中、少しまじめに勉強しておくと、社会人でスタートダッシュが可能となると思いませんか?
やりたいことないならUSCPAを勉強すれば?
ではここで、大学生がUSCPAの勉強をするのって、実際どうなんでしょうか?
試験科目こそ、4科目ですが、その中身は、実は多くの分野を含んでいます。
- FAR(財務会計)
- 企業会計
- 政府・非営利の公会計
→ビジネスに必要な会計のお勉強
- BEC(企業経営環境・経営概念)
- コーポレートガバナンス
- 経済学概論
- IT概論
- 管理会計等
→ビジネスに必要なツール・分析技術のお勉強
- REG(諸法規)
- 税法
- ビジネス法
→ビジネスに必要な法律のお勉強
- AUD(監査)
- 監査と証明業務
- 会計士としての責任
→ビジネスをやる上で知っていて損はない監査のお勉強
少し会計士に寄っており、また、アメリカの資格なので、日本の実情とは違う部分は多少はあります。最も、全てビギナー向けの試験でもあるので、大学生が社会や会社の成り立ちを理解するには、大変役立つと思います。
税法やビジネス法はアメリカの連邦法なので、日本の法律ではないとの反論もありそうですが、実は基礎を学ぶには十分に役立ちます。
ビジネス法は日本の大学の法学部の民法基礎と商学部の会社法基礎の授業のそれぞれビジネスに必要な所を切り取ったようなイメージの内容で、効率的にビジネス法の概念を理解するにはピッタリです。
一つ例外があるとすれば、それは監査。
正直、これは会計士になるための科目であるのは間違いないです。
とはいえ、一定規模以上の会社になれば、監査を受けるのは当然で、上場企業ともなればその監査でお墨付きをもらわないと株価暴落の憂き目に合うのはご存じの通りです。知っておいて、損はないかもしれません。
まぁ、学生がUSCPAを取るかどうかを考える場合、
- 会計を知ることでビジネスを優位に考えられることをどこまで欲するか
- 監査以外の科目を一通り舐めておくことにどれほどアドバンテージを感じるか
- (監査をしたい場合を除いて)直接興味がなくてもどこまで監査を知ろうと思えるか
USCPAにない科目
では、一見、会社の全体像を見渡せる科目が豊富に含まれたUSCPA。
弱点はないのでしょうか?
もちろんあります。
「事業」と「営業・マーケティング」に関する科目がないんです。
上記USCPAの科目は、会計専門家や業務・会計コンサルタント向けだったり、企業のバックオフィス勤務をする人には一通りの知識を提供してくれる半面、
営業、マーケティングなど、「モノをどう効果的に売るか」という知識はカバーされていません。
また、どうそれらの事業を戦略的に展開していくかの知識も提供されません。
ここを補いたいとすると、
卒業後、或いは社会人を経験してからMBAに行くことで補うことが、最も効果的なのではないでしょうか。
MBAとCPAを比較するのは個人的にはナンセンスだとずっと思ってきたのですが、世の中比較する人も多いので、気が向いたら記事にするかもしれません。
金融に行きたいならUSCPAは悪くない
金融に行きたい大学生の人に対しては、USCPAはお薦めできる資格であると考えています。
金融と一言で言っても、業務内容は多岐に渡りますが、いずれも財務諸表を読む力というのが求められます。むしろ、基礎中の基礎。
日系の金融機関などに入ると、その研修なども色々あることでしょう。
その点、USCPAはある程度役に立ちます。
最も、「ズレ」があるとすれば、
USCPA(日本の会計士や簿記もそうですが)は、「財務諸表を作るために必要な知識」であるのに対し、金融は「財務諸表を読んで理解する知識」が必要です。
すごく簡単に言えば、前者は財務会計、後者は管理会計です。
(実際の財務会計と管理会計の違いはもっと複雑ですが、一旦ここでは論じません)
この2つは、必要な知識の多くはオーバーラップするものの、ズレもあります。以下の図のようなイメージです。
USCPAをはじめとする、会計の資格は財務会計の「作る知識」をベースにしており、より詳細に学ぶという点から、ある意味では大は小を兼ねるのですが、それぞれ仕事で使えるレベルまで「訓練」して行くとなると、少しズレが出てくるものです。
財務会計で財務諸表だけを作っているのと、事業の財務諸表を読んで比較する技術は、違います。
とは言え、実務経験のない金融志望の学生にとっては、USCPAの会計の知識は、基礎を学ぶという意味で、とても有用です。加えて、コーポレートガバナンスや税金などについても知っておくことで、金融業を行う上では有利になると言えるため、プラスになると言えます。
USCPAで早いうちから英語に触れる
最後に。
このブログでも色々な記事で英語については少し触れていますが、英語が使えるか使えないかで、キャリアの幅が大きく違います。
ちょっと誤解を恐れずに言えば、
日系企業と外資で、同じ仕事でも1.3~1.5倍くらい、給与の開きが出てくるイメージがあります。金融なら、もっと開きがあることもよくあります。
正直言って、USCPAをただ勉強しただけで給与が1.5倍にはなりませんが、学生のうちからこのくらいの英語に触れて慣れておけば、実際にその後の人生で英語を「苦手」としないで済むかもしれませんし、選択肢と捉えられるかもしれません。
僕は、20年近く前に学生だった頃、
「将来は英語はみんなできるようになるから武器とは言えなくなるので、もう一つプラスワンで会計を勉強しよう」
と思ってUSCPAの勉強を始めました。
その後、経理とM&AアドバイザリーとCFOとIPOを経験してみて思うことは、確かに英語ができる人は増えてきましたが、まだまだ、日本では英語は武器と言えます。
事実、前述の給与差が物語っています。
残念なのか、ラッキーなのかわかりませんが…。
さぁ、学生のみなさん。
学生のうちにUSCPAを取ることで、社会人として周りに一歩リードしてみたくなりましたか?