やはり、男はカブトムシに興奮するのです。これを見て、胸熱にならぬ漢はおるまい。

 

実家で捕まえてもらったカブトムシを息子に見せると、同じく捕まえてもらっていたミヤマクワガタと戦わせ始めると云う、男ならではの遊びに没頭。可愛い声で「行け!カブトムシ!」と云って、コロッセウムさながらの残酷な遊びに興奮しておりました。

 

と云っても、自分ではカブト・がんがりを掴めないので、小生に指示して(上に乗せさせたり、ハサミに体を入れさせたり)、戦わせようとします。拒否すれば、お得意の泣き叫びを発動するので、皆従います(嫌われたくないのもあるし、希望をきいてあげたいと云う甘さもある)。まさに暴君!

 

ちょいと、触ることは出来ます。がんがりは以前噛まれたので、触りもせず。ただ、お亡くなりになったがんがりは触って、掴むことが出来るのは不思議。

 

ただし、あまりにがんがりと戦わせさせられ過ぎたので、カブトムシは早々に天に召されてしまいました。カブトムシのほうが、残念なことに、圧倒的に弱い。大人ながらに、昆虫を戦わせるのが可哀想だと思いましたが、小生も田舎暮らしだったため、子供の頃に殺した昆虫の数を思えば、可愛いもんや、としみじみ思っちゃいます。

 

動かなくなったカブトムシや、がんがりを見て、少しは悲しいと云う気持ちを持ってもらいたいですが、暴君よろしく、サイコパス並に昆虫達に戦いを嗾(けしか)ける息子に、人間の本能を感じずにはいられません。やっぱり、男の子は戦うのとか好きなんや。

 

しかし、やっぱりカブトムシの格好良さは異常。世界的には、ヘラクレスオオカブトとかもいるけど、日本のカブトムシのギュッと詰まった凛々しさに日本の様式美すら感じてしまいます。三四郎で、確か登場人物の先生が、日本の誇るものは富士山だけや!と云っていましたが、夏のカブトムシも、日本の誇れるものに追加しても良いのではないかなぁ、なんて唐突に思っちゃった。

でも、やっぱり、角が縦にはさむのは、地上戦には圧倒的に不利ですね。物理的に弱く、がんがりにやられっ放しでした。

 

で、こいつ。ミヤマクワガタ、カブトムシをミシミシ云わし、はさみ倒して、弱らした真性ヒール(悪役)です。気性が荒すぎて、昆虫部屋でも暴君として振る舞い、他のがんがりどもを片っ端からはさんで、振り回してました。夜中に、昆虫部屋からミシミシと云う音や、カッ、ガタッ、ピシって音が聴こえてくるので見ると、いつもこいつがカブトムシなどをはさんで喧嘩していた音でした。

 

で、3匹目のがんがり、ノコギリクワガタ。こいつは気性が穏やかで、争いを好まぬ温厚な性格。暴君の指示で、カブトムシと対峙させたり、はさみにはさませても、全く争わず、我が暗君(息子)を切り切り舞いにさせた格好良いがんがりでした。ただ、ミヤマが戦いを挑んで来た際だけは、猛然と戦い、鋏み合いに勝ち、ミヤマを追いかけ回すほどの強さを持っているところもイカスんよ。

 

短い間でしたが、この三匹の、例えるなら雷禅(カブトムシ)・黄泉(ミヤマ)・躯(ノコギリ)の三竦み状態が昆虫部屋で繰り広げられていたのです。

 

実は、現在の我が家の昆虫部屋(虫かご)には、一番初めに捕まえたがんがり=ヒラタクワガタのみが生き残っています。こいつは、取り合えず逃げまくる!と云うスタンスで、カブト・ミヤマ・ノコギリ三竦み時代を乗り越え(ほぼ地中に潜って過ごしていた)、数々の偶然が重なって起こった昆虫部屋灼熱地獄という未曾有の大災害にも耐え抜き、現在も黒いダイヤモンドとしての輝きを保っているのです(かなり弱ってるけどね)。

 

「強いものが生き残るのではなく、変化に対応出来るものが生き残れるのである。」ダーウィン