「光る君へ」最終回感想-2024大河- | “GIGS”CASE OF JOGIH

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最終回感想と総評に分けて書きます。
かなり長文、連投になります。
これで最後の機会なのでお許し下さい。

最終回!
倫子の問い。
若い道長もそして今、倫子もまひろを妾に
収めようとしたけどどうしても、そういう
小さい器には収まるハズもない。
嫡妻にはなれない身分の女、ならば妾相当
だろうとこの時代の人は考えるのだろうけど
道長とまひろの歴史を聞くにつれ、想像以上
の存在だった事に驚愕した事でしょうね。

また、この年齢、この時期になっての詰問
だったので倫子がまひろを問い詰める形に
なってしまっていますがまひろからすれば
道長を掻っ攫っていったのは倫子。
実家の家柄と財力を持ってして嫡妻に
収まり道長の子を何人も堂々と産む事が
でき妻として母として輝く事ができた。

まひろは子の父親を公言する事すらでき
ない、さぞや嫉妬に狂ってもおかしくない
境遇だったハズ。
それを倫子の娘である彰子への献身を
考えれば感謝されこそすれ、何故になじら
れなければならないのか。
とはまぁ、視聴者目線での思いですがえー

嫡妻になれなかった事、また妾にもならなか
った事で逆に2人は類を見ない関係に、強く
惹かれ合う存在にお互いが昇華してしまった。
嫡妻すら凌駕する存在に。
また、そういうバックボーンがあるからこそ
「源氏の物語」という大作を生む事ができた。
それを最終回の今この時改めて示した。
そんな場面のように思いました。
こんな事書いてますが黒木華さんは好きな
女優さんの1人ですw

まひろは賢子の事は秘めたまま。
賢子の今後を思い遣って、から?
もうこれ以上道長や土御門邸に関わらないと
覚悟を決めているからバレる事はないと?

と思ってたら倫子から病床の道長を見舞って
やってくれという願い。
「殿の魂を繋いでおくれ」
作品の紹介でまひろと道長はソウルメイトだと
言う事ですが、倫子のセリフでそれを連想
させるとは実に巧い。

自分はここ数週で「まひろは道長に愛想を
つかした、見限った」と書きましたが
まひろも道長第一主義だったんですね、今も。
どうもすみませんでした。

博多での独白や今日の道長との会話。
道長の役に立てなくなった自分はもう
終わっている。
光る君、道長の最期を物語で描かなかった
のは現実の道長の死を考えたくなかった
から、だと(まひろにとって“光る君”とは
道長の事だったと)。

どれも道長への愛、憧れ、惹かれ、で
溢れかえっています。
こんなに深く深く濃い想いを抱えていた
なんて。
平時のまひろは想いを語ることが少なく
「ふふ、どうでしょう?」みたいな
振る舞いが多い印象。
ホントに難しい女性ですw

そして病床の道長。
演じる柄本佑くんの演技が凄すぎます。
ホントに演技じゃないみたい。
声がね、もうホントに死の病を患って
いるようです。

「先に逝くぞ」
開口一番でコレ。
ソウルメイトとはよく言ったもので魂が
繋がっていて、それは永遠に分つ事は
なくて、肉体の死滅など些細な事、
とでも言いたげなセリフ。
某民放で放送された神様戦争ドラマを
連想させられました。
また次の人生でな、とか冥土で待つよ、
みたいな。

死を前にして完全に達観した道長に対し
まひろはまだ現世での道長を欲して
頭の中にだけある新しい物語を聞かせる。
物語や書き物読み物を主軸にした本作
ならではの、ソウルメイト達のやり取り。
そういえば幼い2人の初めての出会いも
まひろの嘘の物語で三郎の気を引いて
いました。
此処とリンクしているんですね。
実に濃く深く崇高な場面でした。

「この世は何も変わっておらぬ」
死の病床の道長はそう嘆く。
民の為に、まひろとの約束の為にと
頑張って偉い人として生きてきたけど
虚しい。
賢子の「源氏の物語」評。
幸せとは幻、虚しい(意訳)

人とは虚しいと。
確かに。
現実の自分に例えれば、凄く矮小な例え
ですけど。
例えばモノを作る時、作ってる最中は
完成を目標にして楽しいし、モチベも
漲っているけど完成した瞬間に、それは
もう過去の遺物なんだと思います。

まひろの作った物語や、権勢の頂点を
極めた道長も頂上に到達した瞬間に
悟ってしまったのかも。

道長にしてみれば自分の理想の政を叶える
為に孫を帝にし、息子に地位を引き継
いだ。
しかし息子は自分の意を全く汲まない。
外敵の脅威、民への思い遣り、全て放置。
「俺の人生はなんだったのか」と、確かに
思いたくもなりましょう。

しかしまひろは道長を是として称えます。
「戦のない世を守った」
「物語は道長なくして生まれはしなかった。」
摂関政治とは一般的には藤原の傲慢、
帝や娘を道具扱い、などと評価されると
思います。
が確かに、複数の氏族間で権力争いが
行われる心配が少なく、要らぬ仕事が
減り政策に集中できる>治世が安定する、
世が安定すれば文化も栄える、歌や物語
など、よりレベルの高い作品が生まれ
やすい。

まひろのセリフを通して摂関政治時代の
メリットを我々に提示している。

人や、世の虚しさも真実だし、摂関政治も
また悪くない。
まひろと道長の崇高なやり取りに交えて
製作陣の歴史観も提示した最終回に
相応しい渾身の場面だったと思います。

まひろは新しい物語を小刻みに聞かせて
道長の延命を図りますがやがて道長は
静かに息を引き取り。
最期を見つけたのはしかし、嫡妻倫子
でした。
ここは倫子の役割だったと。
製作陣の倫子への愛情だったのかな。

紫式部と藤原道長が恋愛関係にあった、
などという創作を作り出し、心ない世評も
あったかもしれませんが、そんな事は
吹き飛ばされ見事なソウルメイトぶりを
見せてくれたまひろと道長。

創作を広げてきっちり最終回でその決着を
つけてくれました。
ソウルメイトって説明が難しいと思います
が「まひろと道長みたいな関係」で
納得できます。
見事に描いてくれました。

彰子。
後一条帝の後宮対策を講じる弟・頼通に対
する振る舞い。
まるで道長が乗り移ったかのよう。

威子に皇子が生まれない為、他家から女人を
入内させる案に猛反対。
その理由が結構な鬼畜論説。

・皇統は二統迭立であったが一条帝の皇統に
集約しつつある
・後一条帝の次は弟の敦良皇太子が控えて
おり彼には我らの妹・嬉子が生んだ
親仁親王いる

つまり、この先2代は一条系かつ道長家の血
を引く帝が約束されている。
もう最終回が放送されたのでネタバレには
相当しないと思いますので書きます。

弟・敦良くんは御朱雀帝として即位。
またその息子親仁親王も後冷泉帝として
即位します。
彰子の目論みは的中します。

しかし、この場面には後一条帝ご本人も
后の威子も居ます。

「あなたは弟の為の中継ぎよ」

「皇子を産めなかった貴女の責任よ威子」

「大丈夫、父上の血筋の帝は当分絶えない
わ」

と言外に示しているようなもの。
あの彰子が随分と逞しくなった、を
通り越して権力の亡者になってしまった
というのは言い過ぎでしょうか。

歴史は繰り返す、権力争いはいつの時代も
止まらない、を示しているんでしょうか?
道長の「この世は何も変わらない」を
刻む為の場面だったのか。
だとしたら結構辛辣な展開ですよね。

ですが歴史劇としては大変意義があった
んでは。
歴史的には埋没しがちな後一条帝の成年姿
(まだ少年か?)が登場し「光る君へ後の
世界」ともいうべき朝廷の姿を仄めかす
内容。

後述しますが、ネットでも話題になって
いるまひろと双寿丸のすれ違いの場面に
匹敵、いや対を成す場面だったかと。

朝廷はこの先も同じような駆け引きを
続け、外野では武士の世の到来を予感
させる、そういう意図だったんじゃない
かと。

ききょうがまひろを訪ね談笑。
お互い現役を退いてギスギスしていた
時期も過去のもの。
お互いの作品が一条帝の心を動かし、
即ち世を動かしたと。
確かにっ!これ唸りました。
痛快な場面でした。
大石さんが言いたかった事の一つ
だったのでは。
それを内裏や貴族のお邸という豪奢な
空間ではなくまひろの実家で本人達だけ
自慢し合うというのがまた心憎い!

そして最後の場面。
旅を再び始めたまひろと東国の戦に向かう
双寿丸。
凄い終わり方ですね〜。
まひろと道長の凄い関係を決着させつつ
武士の世の到来をも書く。
歴史物語としての役割も果たす。
凄い最終回です。

双寿丸の騎馬甲冑姿。
颯爽という言葉がよく似合う。
凛々しかった。
しかしそれは道長やまひろが忌み嫌った
武力の象徴。

まひろに取って双寿丸個人は娘の好い人
だったので親近感はあるのでしょうが
その彼が、彼の望む姿に成長していく事は
まひろや道長にとって好ましくない
出来事。
なんとも皮肉な場面でこちらもムズムズ、
ヒリヒリします。
喜ばしいような不穏なような。

この相反する気持ちを同居させる、という
手法というか描き方、これこそこのドラマ
の主人公まひろというキャラだったんじゃ
ないでしょうか。
「人は悲しくても嬉しくても泣く」
あれは稀に見る名言でした。

そんなまひろの心情を模した、まひろと
双寿丸との邂逅でドラマは幕を閉じました。
鎌倉殿の最終場面もかなり衝撃的でしたが
本作もそれに匹敵すると思います。

恐ろしいのは太宰府編からこっち、最終章は
史実に絡ませながらもほぼ創作。

隆家の眼病も、宋の医師によって治癒したの
も刀伊の入寇も報償会議の紛糾も道長の死、
朝廷のその後も全部史実。
しかしまひろが登場する場面は全て創作。
紫式部の死没年が不明ですからね。

と言う事はラストシーンのまひろもオリキャ
ラと言って差し支えない。
オリキャラのみで幕を閉じた事に脱帽です。
凄い最終回でした。