過日、劇場で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観賞した際、直前で『ライリー・ノース~復讐の女神~』の予告編を観た。物語は「一瞬にして家族の命を奪われた主人公が、組織に正義の鉄槌を下す」という“ありがち”な復讐劇のようだ。しかもこれも復讐劇に“ありがちな”女主人公の物語。これはいつも思うのだけれど、石井隆監督の『名美』シリーズしかり、大好きな『華麗なる追跡』(鈴木則文監督)でさえも、どうしてこうもヒロインの活躍の原動力が決まって“復讐”ばかりなのか、どうも納得がいかない。しかも復讐劇ゆえ葛藤もあったり、その葛藤を逆手に取られてピンチに陥ったりと、ヒロインの感情的な揺れや、非力さを誇張する展開が多いのはいかがなものか……別にただただ強いヒロインが悪党を懲らしめる映画でもいいじゃないって思ってしまう。いっそ「仕事人」ではないが、金で雇われてクールに悪党を抹殺する“女殺し屋”って設定の方が観てみたい気がする(その点、来月日本映画専門チャンネルの「蔵出し名画座」で放送される江波杏子主演の大映映画『女殺し屋 牝犬』は大いに期待している(;^_^A)

 

 

 そんな訳で、いつもの「リベンジヒロイン」ぐらいに考えて予告編を観ていたんだけれど、どうも主人公「ライリー・ノーズ」の破壊力の半端なさが映像からビンビン伝わってきて……確かに復讐に端を発してはいるものの、そのエネルギーが主人公を“完全無欠”のヒロインに仕立て上げているようで、俄然興味が湧いてきた(^^)  しかも本作をチラシで知った時、その容姿から一時は主人公を演じているのが『ロング・キス・グッド・ナイト』のジーナ・デイヴィスだと勝手に思い込んでいたのだが、実際演じているのはジェニファー・ガーナーという女優。なんと彼女は、かのヒロインアクションムービー『エレクトラ』で主人公を演じたその人であった!!!Σ(゚д゚;)

 

 

 劇場版『ワンダーウーマン』以降、ハリウッドでもスーパーヒロインやスパイなど、女性が“ピン”で活躍するヒロイン活劇が量産され始めたが、それまでは、ハリウッド映画界の保守的な気質からか、日本や香港と比べても、ヒロインアクションムービーは殆ど制作されていなかった。かのMCUでさえも、悪名高き保守派のCEO(しかも献金までするほどの“トランプ支持者”)アイザック・パームルッターが解任されて 、ようやく『キャプテン・マーベル』の企画がスタートした位である。そんなハリウッドヒロインアクション“氷河期”の時代に制作された数少ないスーパーヒロイン活劇が『スーパーガール』『キャットウーマン』『エレクトラ』の3本(全てスピンオフ!)で、そのうち2005年に『テアデビル』のスピンオフ作品として撮られた『エレクトラ』の主演が、ジェニファー・ガーナー嬢その人であったわけだ。しかも彼女は同時期、ハードなスパイドラマ『エイリアス』の主人公役を務め、第一話から北朝鮮に拉致されて、奥歯を引っこ抜かれる拷問シーンまで披露するなど、まさにハリウッドスーパーヒロイン界のレジェンドといっていい存在である。それから14年の歳月を経て、再び彼女はヒロインアクションムービーの世界に戻ってきてくれた。それだけでも“大事件”じゃないか!(;^_^A

 

 年齢のことに触れるのはいささか失礼かも知れないが、彼女は御歳47歳。それでいてこんなハードなガンアクションをこなすのだから、素晴らしいの一語に尽きる。かつてショーブラザーズで可憐なアクションヒロインを演じたベティ・ウェイ(カラ・ワイ)は、56歳にして『ミセスK』でノンスタントのアクションをこなしているから、それには及ばないものの、その意気や好しである(;^_^A

 

 これは是非劇場で観賞したいね!!(^^)