過日、初観賞して、殊の外楽しませてもらった『マンハント(追捕)』。佐藤純彌監督の東映を退社しての初フリー作品として、永田雅一・徳間 康快両御大の大映で制作され、しかし配給は松竹で、しかも国内よりも文化大革命の残滓の残る中国の方で空前のヒットを記録した映画である『君よ憤怒の河を渉れ』が、あの『男たちの挽歌』のジョン・ウー監督によってリメイクされた(とはいっても、キャスト名以外はほぼオリジナルの物語)アクション活劇だ。最初は、オリジナル同様「反権力のダークな物語」と高をくくって観た訳なんだけど、オリジナルを遙かに凌駕する空前のアクション映画に仕上がっていた。監督の愛娘のアンジェルス・ウーと『朝鮮美女三銃士』のハ・ジウォンの女殺し屋(義姉妹?)の活躍が何とも素敵で、福山雅治も外連味たっぷりに、オリジナルの原田芳雄とはまた違った、渋さの中に活きの良さのにじみ出や刑事(係長)役を演じきっていたと思う。

 

 ところで、本作が気に入った一つの理由として、クライマックスの天神製薬工場における一大バトルが挙げられる。原作の人間を思うままにコントロールする新薬「AX」に対し、『マンハント』では人間から痛みの感覚を失わせ且つ肉体を極度に増強させる新薬に変更されているのが良い意味で何とも馬鹿馬鹿しく、それを無理矢理投与された主人公ドゥ・チウ(チャン・ハンユー)が、逆に矢村係長(福山雅治)と共に悪党をバッサバッサと打ち(撃ち)倒していくシーンはまさに荒唐無稽で、観ていて嬉しくなってしまったよ(;^_^A

 

 そこで思い出したのが、同じ中国(香港)映画の『死亡の塔』。ブルースリーの死後、その人気に便乗して、未完映像に吹き替え役者を絡めてでっち上げた『死亡遊戯』って映画があったが、その未使用フィルムや何やらをかき集め、そっくりさん(似てないけど……)で更にでっち上げた作品である。昔BSであった時には、前半部だけ観て「そっくりさんじゃしょうもねぇなぁ~」って思って続きは観てなかったんだけど、やがてDVDで改めて観たとき、クライマックスが「007もかくや」の如き秘密基地なんてのが出てきて、その荒唐無稽さに却って再評価してしまった映画でもある。きっと映画ファンからすれば、『マンハント』の方がオリジナルより“不真面目”ってイメージを受けるんだろうけど、そんな荒唐無稽さこそ、ゴラク映画の醍醐味とも言えるのではないだろうか。

 

 だからいつかは『クローン人間ブルース・リー 怒りのスリードラゴン』を観てみたいと願っている(;^_^A