目標を達成しよう!

 

ISO規格要求事項4項,5項,6項の具体的構築事例 その②

今回は、目次の紫色のところです。

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目次

1.シンプルシステムの具体例

  a)私たちの課題

  b)お客様・従業員・業者などが望むこと

  c)目的と範囲

  d)組織全体の業務の流れ

  e)リーダーシップ

  f)方針

  g)役割分担

  h)リスクと機会

  i)リスクアセスメント

  j)法規制を守るためのルール

  k)目標設定

  l)変更の計画

2.レベルアップのためのヒント

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e)リーダーシップ
『5.1項 リーダーシップ及びコミットメント』

規格によって若干違いますが、大体次のことを経営者はコミットします。

1.方針及び目標を確立し私たち組織の戦略的な方向性と組織の状況(現状)とを両立させます。

2.事業プロセスへのマネジメントシステム要求事項の統合を行います。

3.マネジメントシステムに必要な資源を準備します。

4.有効なマネジメントおよびマネジメントシステム要求事項への適合の重要性を従業員に周知させます。

5.マネジメントシステムがその意図した成果、つまり事業の目的とそれを達成するようにします。

6.マネジメントシステムの有効性に関係する人々を指揮し、支援します。

7.継続的な改善を促進します。

8.管理層がその責任の範囲でリーダーシップを実証するよう管理層の役割を支援します。

 

f)方針
『5.2項 方針』

経営者は方針を設定し、文書化します。

また、方針を全従業員に周知するだけでなく、その重要性と意味をしっかり理解してもらう必要があります。

例えば、方針を事務所や休憩所など従業員の目につくところに掲示します。

経営者は、機会あるごとに従業員に方針の意図、意味を解説し、理解してもらいます。

私たちは経営者が宣言した方針を達成することが一番重要な活動となります。

自らの行動を方針に照らし合わせて、言動が間違っていないかを確認しましょう。

組織によっては、方針の上位に経営理念や信条など事業の目的を明確にしているところもあるかと思います。

マネジメントシステムは、これらのことを達成するためにあるのです。

 

g)役割分担
『5.3項 組織の役割、責任と権限』

経営者は、組織体制を明確にして、役割分担を明確にします。

責任と権限をはっきりすることによって、責任を担った人が的確な活動を行ってもらうようにします。

役割と責任及び権限は文書化するなどして、全従業員に伝達してください。

組織図は、縦構造でなくてもかまいません。文鎮型といわれる、社長の下を皆横一列でも構いません。

自組織にあった組織図を作って、役割分担を決め、責任と権限を明確にしてください。

全従業員に周知させるのですから、文書をお勧めします。

規格によっては、マネジメントシステムを構築、運用、改善する責任者を決めるようになっている場合があります。

例えば、食品安全チームリーダーやチームなどです。

品質マネジメントシステムなどは、管理責任者を任命しなくても良くなりました。

但し、マネジメントシステムを構築、運用、改善する役割はどこが担うのかは明確にしてください。

 

h)リスクと機会
『6.1項 リスク及び機会への取組み』

リスクをかわし、好機(機会)を逃さない事業経営をするために、

組織のリスクと機会を洗い出し、評価を行って、優先順位をつけて

目標に設定して、計画的に改善します。

リスクと機会を洗い出すときは、

a)私たちの課題

b)お客様・従業員・業者などが望むこと

c)目的と範囲を検討します。

文書化の要求はありませんが、自分たちのために文書にまとめて、

改善の進捗を管理することをお勧めします。

図は、リスクと機会を登録して、評価し、優先順位が高いものから対処します。

但し、経済的な理由や人的資源などで今は実現の可能性が低いものは

機が熟するまでは対処しない場合もあります。

目標に選ばれなかったものも、何らかの対応が必要であることは認識してください。

 

i)リスクアセスメント①

規格によっては、リスクアセスメントの要求事項があります。

図は環境のリスクアセスメントを行っている表です。

 

i)リスクアセスメント②

 

労働安全衛生のリスクアセスメントを行っている表です。

 

j)法規制を守るためのルール

法規制を守るための順守義務の要求事項が入っている規格もあります。

法規制はどのような規格でも関連してきますので、図のような一覧表を作って、

自分たちの事業に関連する法規制等をすべてまとめることをお勧めします。

順守義務の評価項目は次のようなことです。

1.法定基準値を守って業務を行っていますか。

2.届出義務のある提出物を期限内に提出していますか。

3.定められた点検や検査を受けていますか。

4.必要な更新を行っていますか。

5.必要な許認可を受けていますか。

6.実施すべき掲示物等を掲示していますか。

7.結ぶべき契約を行っていますか。

関連する法規制等を定期的に見直して、最新の状態を維持します。

これには、県や市が制定する政令や規則も登録します。

 

k)目標設定
『6.2項 マネジメントシステムの目標及びそれを達成するための計画』

 

目標は、リスクと機会を評価した結果、優先順位と実現可能性などを考慮して、目標を設定します。

図のような「目標計画書」を作成します。

「2.レベルアップのためのヒント」にもっと有効な事例を紹介しています。

有効で、適切な、タイムリーな目標を設定することも大事ですが、

実施方策の活動状況をしっかり管理することは、達成に向けてとても重要です。

途中で未達成が決定しても、その時点で目標値の見直しを行ったり、

目標そのものを変更したりすれば良いのです。

目標値がもともと高すぎた、的外れな目標だった、目標値が低すぎてすぐに達成したなど

見直しの機会はいっぱい出てくるかもしれません。

問題をそのままにしないで、良い方向に修正するその行為自体が、システムを回していることなのです。

 

l)変更の計画
『6.3項 変更の計画』

 

マネジメントシステムの変更を行うときは、次に従って計画的に行ってください。

1.変更の必要性は何なのか

2.変更の目的、ねらい目は何ですか

3.変更したことによって悪い方向にシステムが向かわないように、教育訓練を行ったり、資源を整えます。

4.責任と権限の見直しをします。

図のようなフロー図を作って、責任と権限を割り当てることで、全体的な問題点や役割が分かり易くなります。

 

掲載しました文書類は次のURLよりダウンロードできます。
ISO.net のホームページをご覧ください。