36.懲罰による減給の制限 | 人事評価のQ&A

36.懲罰による減給の制限

 労働基準法91条「減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払時期における賃金の10分の1を超えてはならない」という、制限があるにもかかわらず、不祥事をおこした企業のマスコミ報道を見ると、減給10%3ヶ月とか、6ヶ月とか制限を越える内容のモノがあります。何か特例でもあるのでしょうか。あれば当社でも採用したいと思います。

 

 労働基準法91条には特例がありませんので、そのようなことはできません。

マスコミ報道については、(私の想像ですが)「申し訳なさ」をわかりやすくするため、減給10%といっていますが実際の処理は、わかりません。


 1 本人からの返上という処理にする
 2 出勤停止とし、その分の賃金をカットする


などの方法を取っている可能性があります。


 制裁としての、減給処分は
「減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払時期における賃金の10分の1を超えてはならない」という制限があります。仮に制限を越えるような事象があった場合は減給処分ではなく、出勤停止等の重い処分を適用するとよいと思います。出勤停止により仕事をしなかった分を賃金カットすることは合法です。

 

 どうしても減給額を増やしたいということであれば、就業規則はそのままにして、運用で調整する方法があります。「1回の額は」の1回をどのようにカウントするかによって減給額を変動させることができます。

 例えば、伝票の書き換えを10回して、公金を横領した場合、横領1回とカウントするか、不正伝票記入10回とカウントするかによって減給額は変わってきます。
 1回のカウントについては、1事象というだけで特に定義はありません。労働局監督課に問い合わせをしましたら、カウントの仕方は企業の考えによるそうです。
今までの慣習などを参考に判断するということです。ただし、ダブルのカウントはダメとのことでした。上記の例でいうと不正伝票記入10回と横領1回を同時に制裁の対象にするのはいけないということです。どちらか一方で制裁するということになります。

 マスコミ報道についてのコメントは、あくまでも想像です。

追加情報

 私も気になったので以前調べたことがあります。

すると、労基法を超える減給(10%を3ヶ月など)は、全て公務員だったのです。

NTTか何かの懲戒で、半日分の減給をしたことについて、記者から「少ないのでは?」という質問が出て経営トップが「公務員ではないのでこれ以上の減給はできないのです」という説明をしていました。(Googleで検索したら、そんな記録がありました)