ＪＪです。

昨日お話した２０１１年１０月１６日（日）読売新聞朝刊に掲載された記事を、ご紹介いたします。

※記事の中では、患者さんのお名前が実名で紹介されていますが、以下では伏せさせていただいております。大学や医療関係の先生方のお名前は、原文のままです。

※記事読みながら私自身がタイプしましたので、ミスがあるかもしれません。御容赦ください。

===以下、2011年10月16日読売新聞朝刊から抜粋===

補助人工心臓に子ども用

１５歳未満からの脳死臓器提供を認める改正臓器移植法が昨年７月に施行され、重い心臓病の小児患者が国内で移植を受けられる道が開けた。

だが、現在、待機中に心臓の働きを助けるための小児用補助人工心臓がない。その実用化に向けた臨床試験が来年、ようやく始まる。（小日向邦夫）

子供の心臓移植に詳しい大阪大学の福嶌教偉（ふくしまのりひで）教授によると、心臓移植が必要な１０歳未満の患者は、国内に常時３０人ほどいるという。半数が１年以内に死亡する。

補助人工心臓は、国内で３種類が販売されている。このうち２機種は、体内に埋め込む大人用で、子どもは体が小さいので使えない。もう１種類は体外式。

冷蔵庫のような大きさの駆動装置で握り拳ほどのポンプと心臓を管でつなぐ。本来は体重３０キログラム以上の患者が対象なので、子どもに使うには血流量を落とす必要がある。そのため血液の塊ができやすく、装着は半年が限度。とされる。

改正法施行からこれまでに心臓を提供した１５歳未満の脳死患者はわずか１人。多くの小児心臓病患者は、補助人工心臓を着けた時点で、海外渡航による移植の道を視野に入れる。

拡張型心筋症のＹ君（６）は昨年３月、大人用の機種を装着。同年９月に米国で移植手術を受けた。現在は、元気に小学校に通っている。Ｙ君のお父さん（４０）は、「なぜ子ども用の補助人工心臓がないのかが不思議だった。大人に比べて移植を待つ時間が限られていることを、不公平に感じた。」と話す。

「法律が整ったのに、移植を待つ環境が整っていないのはおかしい」と指摘するのは、東京大学の小野稔教授だ。小野さんらは来年、独ベルリンハート社製の小児用補助人工心臓の臨床試験を、大阪大、国立循環器病研究センター（国循）と始める。

体外式で、欧州を中心に３２カ国で８００人以上に使用した実績がある。

体重２～８キログラム用、２５キログラムまで、３０キログラムまでの３種類を使う。

輸入販売するカルディオ（「神戸市）は「２０１３年をめどに、国に製造販売を申請したい」という。

厚生労働省の検討会は、１０年（２０１０年）、この機種を、早期導入の必要がある医療機器に選んだ。そのため、優先的に審査が受けられる。

小野さんは「年間１０～２０人の子どもがこの機種を必要としている。これまで移植を待てずに救えなかった命が救える。」と話す。

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国循と三菱重工業、産業総合研究所、医療機器大手のニプロは、体内に埋め込む超小型補助人工心臓の開発を進めている。

埋め込むチタン抗菌性のポンプは、単２乾電池ほどの大きさで、重さも１５０グラムと世界最軽量級。

羽根車が回転して血液を送る。消費電力が少なく、ポンプに信号を送る駆動装置やバッテリーを小さくできる。体重１５～３０キログラムの子どもへの使用を想定している。自宅で生活でき、駆動装置などをリュックに入れれば外出もできる。

国循などは、ほぼ同じサイズで血流量を増やした大人用をすでに開発した。

牛に移植した動物実験では、７頭で９０日間の生存に成功している。新エネルギー・産業技術総合開発機構は子ども用の開発に５年で計５億円を助成し、１４年度末までに安全性や有用性を確認して子ども用の試作モデルを作る計画だ。

その後に改良や臨床試験を行うので、実用化はまだ少し先になるという。

国循の妙中義之・研究開発基盤センター長は、「このポンプには、高性能で安全性の高い日本の最新技術が詰まっている。子どもの成長に会わせて使い続けられるように工夫したい」と話している。