さあ、もう後へは引けない。飛行機のチェックイン締め切りの時間も迫ってくる。日本への帰国便は、一日1便なので、今日、この便に乗れなければ、次は、今夜の宿をフランクフルトで、探さなくてはならなくなる。
もう一度、チェックインカウンターに向かうと、ルフトハンザの担当者は、チケットカウンターに行けと言う。先程、カウンター内に入り込んで、モニターを覗いたので、ずいぶんと警戒しているようだ。
ここで揉めて、警備員を呼ばれたら面倒なので、言われるがまま、チケットカウンターへ向かった。
チケットカウンターでは、年輩の落ち着いた漢字の女性スタッフが応対してくれた。僕は、これまでの経緯を、また最初から説明した。
繰り返し話すことはいいことで、だんだん英語の説明がスムーズになってくるのが、自分でも判ってうれしかった。年輩の女性スタッフは、僕の説明を聞き終わると、
「誰があなたのチケットをキャンセルしたのか、調べてみる。」と言ってくれた。
彼女は、端末をたたいた後、電話をかけた。すぐにもう一人、男性スタッフがやってきて、二人でモニターの覗きながら、ドイツ語で話している。僕は、会話の内容をちょっとでも理解しようと、ドイツ語できないくせに、聞き耳を立てていた。
女性スタッフと男性スタッフの会話が終わると、彼らは、私にもう一度チェックインカウンターに行くように言った。ここで衝撃的な事実を聞かされる。
「あなた達のチケットをキャンセルしたのは、私たち(ルフトハンザ)よ。」