大阪市内を走る3500台のタクシーに一斉同報。
我々が、タクシーに乗ったとき、よく聞くタクシー無線。聞き取りにくい声で、たとえば運転手がお客と話をしていたら、おそらく聞き取れないだろう。
一斉同報も一回ではダメかもしれない。いや、きっとダメだ。複数回やってくれるように、タクシー会社に電話しようか?
うまい具合のタクシー待ちの行列で見つけたらいいが、走行中では、たとえ非常勤運転手の車を見かけたとしても、携帯もない、無線もない。連絡の方法がない。車で追いかけて、横に並んで声をかけるか、車の前に立ちふさがって止めるのか?
そこまで、やってくれるのか?
打つ手の無くなった僕は、空港行きリムジンバスの停留所で、もんもんと考えながら、ただ、待つだけだった。
40分も待っただろうか?
携帯が鳴った。
「JJさん! お待たせしました。非常勤運転手の車、見つかりましたよ。」
「本当ですか?」
「はい! 現在JJさんの待つバス停留所へ向かっています。15分程度で到着するだろうとのことです。」
「ありがとうございます。15分なら、なんとか次の飛行機に乗れそうです。」
「こちらこそ、ご迷惑をおかけしました。」
やった! 一斉同報、成功したんだ! すごい すごい。あとは、本当に15分戻ってきてくれるだ。
時計をみる。次のリムジンバスの出発時間は、25分後。 これを逃すと次のバスでは間に合わない。電車に切り替えなくてはならない。それも大急ぎで!
スーツケースが、後15分で戻ってきてくれるか、どうか?
ここにきて、またドキドキが待っていた。