お医者さん、命に別状ないって、言っててたよね?
なんで?何があったん?
俺、「T君」のお母さんに説明しちゃったよ!
「T君は、大丈夫ですから!」
「命には別状ないですから!」
「だから安心して、ゆっくりでもいいですから、ケガとかしないように気を付けて!」
なんども、なんども、話ちゃったよ。
嘘ついちゃったの?
なんで、嘘になんの?
治るんとちゃうかったんか!
お母さんに、俺、なんて言えばいいんだよ!
俺、みんなにも、お見舞い我慢しようって言ったのにさ、
お見舞いに行きたがっていた彼女、もうお見舞いに行けなくなってしもたんか?
どうすんだよ!
正直、パニックでした。
後で聞いたら、僕はその時、うわごとみたいに、でもかなり大きな声で、いろいろつぶやいてたらしいです。
結局、その後、病院には行きませんでした。
お母さんは、「T君」を早く島へ戻してやりたいと言ったそうです。