次の日、会社に行った。

例のにこやかな笑顔の上司が、昨日のいきさつを聞いてきた。


朝礼で、「T君」の病状が報告され、ここでも「命に別状はない」と繰り返された。

「T君」の同期の女の子は、お見舞いに行きたがったが、みんなで見舞いにいっていいほど、楽観的ではないんだよと説得した。


みんな、ここは遠慮しよう!

もう少し、元気になってから、みんなでお見舞い行こうやないか!
僕はみんなにそう言った。


もう、お母さんが来て、面倒をみてるんや。

お医者さんも、命に別状はないていうてはる。

もう大丈夫や。だから、今はちょっとだけ我慢や。


そう言った、2日後、にこやかな上司が言った。


「JJ! T君な・・、逝ったそうだよ。」


「は?、なんですか? 何の話ですか? 

 だって、だって命には別状ないって言ってたじゃないですか!」


フロア中に響き渡る自分の声に驚いた。


「T君」は、逝ってしまった。