3ヶ月ワークショップ・レギュラークラス(2023年1月〜3月期)

早速、みなさまからのお申込みをいただいております!!

 

 

今回は、これまで実施した短期ワークショップに参加してくださった方々からもお申込みを頂いています!

短期のレッスンだと、どうしても「(継続的な)訓練」という段階までお伝えできないので、こうしてじっくり演技を学んでくださること、とても嬉しいです。

 

現在、

▶︎金曜日は残席あと僅か。

▶︎水曜日のクラスはまだ余裕があります!!

 

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さて。

僕がいつもお世話になっている声優の樋口あかりさんが、Twitterでこんなことを呟いていらっしゃいました。

 

 

 

 

 

……樋口さんのTwitter、更新頻度が高いのに、そのどれを読んでもいっつも心から頷いてしまう内容だから凄い……。

よく、この短い文字数の中で、こんなにも的確なことばかりを呟けるなぁ、と関心させられっぱなしです(しかも、オモシロい!笑)

 

 

 
その中でも、こちらのツイートはとても重要なことだと思ったので、ぜひご紹介させていただこうと思いました。
 
 
 
■人気者になりたい/商売がしたい
■演じることが好き
 
 
これらはそもそも、まったく別の問題(目標)です。
だから当然、自分がどちらの方向に行くかによって、勉強すべき内容が変わる。
 
 
でも、はじめのころや若いうちは、その切り分けはなかなか難しいものですよね。
 
 
 
▲こうしたことの「切り分け」って、意外と難しいですよね。
特に、先を急いでしまっていると、なおさら。
落ち着いて、時間を取って、自分の心と向き合うことが必要ですね。
 
 
 
僕は、ちょうど二十歳の頃、某劇団の研究生として訓練を受けていました。
 
僕の世代よりも上の方なら99.999%が知っている、日本を代表するコメディアンの方が作った劇団。
昭和のテレビ業界を変え、芸能界の一時代を気づいた、あのコメディアンの方の劇団です。
 
 
その劇団の研究生は、週4〜5日の頻度でいろいろな訓練をしていました。
演技、発声、パントマイム、コント、ダンス。
 
僕は、大学の授業の帰りにスタジオに通っていました。
 
 
さて。
この入所オーディションが、また狭き門だったのですが。
 
それを通過し、初日。
入所式で、とある「プロデューサー」という方が、僕らにこんな質問をしました。
 
 
「お前たちは、何をしたくてここに来たんだ?」
 
 
そして、そのプロデューサーは最初に、僕を指差しました。
「お前は?」
 
いかにも芸能界のプロデューサーといったいでたちと、独特の圧力のある方からの指名にドキドキしながらも、僕はこう答えました。
 
「本気で演技というものを学んでみたくて……」
 
この時。
16歳から養成所で演技を学び始め、そこから大学の学生演劇に夢中になっていた僕は、それでもどこか物足りなさを感じていました。
そして見つけたのが、この劇団の募集広告。
誰もが知っている伝説のコメディアンが立ち上げた劇団なら、ガチで演技を学べるかもしれない。
「演技を学びきれていない」という欠乏感を満たしてくれるかもしれない。
僕は本当にその一心で、この劇団の扉を叩いたのです。
 
 
ところが、このプロデューサーさんは、僕の答えをさっさと打ち切って、こう言いました。
 
 
「……お前、何を言ってるんだ?
それっぽいこと言ったってダメなんだよ!」
 
そして、全員に向かって、こう続けました。
 
「いいか、こういう適当なことを言うやつは、すぐ芝居やめちゃうんだよ。
それで、『昔、オレ俳優やってたんだ』とか飲み屋で自慢して回るようなやつだ。」
 
そう言って、別の生徒を指さしました。
 
「おい、お前はどうだ?」
 
指名された方は、一言、こう答えました。
「有名になりたいからです。」
 
 
それに対して、プロデューサーさんは満足げに、
「そうだよ! それでいいんだよ!
おい、お前(僕)、なんでこうやって正直に言えないんだよ。」
とおっしゃっていました。
 
 
……このプロデューサーの言葉を聞いて、僕の頭の中は混乱しました。
だって、僕の「本気で演技を学びたい」という答えは、まったくもって嘘をついた気はなかったんです。
 
でも同時に、若かった僕は、
 
「そうなのかなぁ……
こういう時に『有名になりたい』と答えられなきゃいけないのか。
自分は正直じゃなかったんだな。」
 
と反省し、自分に何度も「『有名になりたい』と答えられなくてはダメだ!」と言い聞かせました……。
 
 
そんなわけで、すっごくモヤっとした入所式。
そこから日々のレッスンに明け暮れる毎日。
 
レッスン自体はとても良いもので、本当にいろんなことを楽しく学べましたが。
それでも、この入所式でのことはずっと頭を離れず。
 
結果的に、「僕が目指しているのはこの場所じゃない」と気づいて退所するまで、半年かかりました。
 
 
 
▲しばらく悩みましたが、結論を出した時にはとてもスッキリしました。
今思い返してみても、この時の退所の決断は間違っていなかったと思っています。
もちろん、俳優を目指す若者として、人並みに「有名になりたい」と思うところもありましたが、その時はとにかく「もっと演技がしたい!」という一心でした。
 
 
 
……人気者になりたいということと、演技をやりたいということ。
どちらが正しいとか、間違えてるということではないんです。
 
ただ、自分はどちらを目指しているのかを本当にしっかり認識していないと、自分には合わない場所に飛び込んでしまう。
そして、とてもしんどい思いをして、時間を過ごしてしまう。
 
 
一方で、その切り分けは、スッキリとできるものではありませんよね。
 
人気者になりたいけど、演技も好き。
演技が好きだけど、できればその道で人気者になりたい。
 
そうした思いは、とても自然なことでもありますし。
特に若い方や経験のない方は、なかなか切り分けて考えられるものではないでしょう。
 
それは、僕自身も味わってきた人生なので、本当によくわかります。
 
▲もし、どちらの思いも感じるのであれば、切り捨てる必要はありません。
そのどちらもが、あなたの正直な思いなのですから。
重要なのは、何かを実行していく時に「課題を切り分ける」ということです。
 
 
 
アメリカの演技コーチ、ステラ・アドラー
この方のベストセラー「魂の演技レッスン22」は、俳優の間ではとても有名な本なので、お手元にお持ちの方も多いかもしれませんね。
 
本の冒頭。
アドラーは、こうした「有名になりたい」「演技が好き」ということについて、厳しくも温かい言葉でこう語っています。
 
 
「『役をもらっても、もらわなくてもいい。私は女優。(中略)あなた方にチャンスをもらわなくても生きていける』。皆さんも、そう言えるようになってください。」
 
 
「誰かに見出されての成功なんて、あっけなく崩れます。自分の人生なのに、他力本願すぎるわよ。」
 
 
……有名か否かで自分の俳優としての価値判断をするなかれ。
そんなことではなく、自分で自分の価値をしっかり把握し、周りがなんと言おうと「私は俳優だ」と胸を張って言えるようになりなさい。
売れる、売れないなんて、自分が俳優であることとは何の関係もない。
重要なのは、「自分は俳優だ」と自分で自分を認められるかどうか。そこから大切なことをしっかり学べるかどうか。
自分の足で、俳優として自立できるかどうか。
 
 
あくまでも、こうした「演技が好き」という立場から書かれた本で、アドラーは僕らに大切なことを教えてくれる。
 
 
しかし一方で、
 
 
「社会生活をするには稼いで、成功しなきゃいけない。成功に興味ないふりをする、なんて無理よね。」
 
 
「『早く世に名を知られたい』と願う気持ちはぬぐえませんね。」
 
 
とも語ってくれています。
「有名になりたい」「売れたい(商売したい)」という思いは誰にだってある、とも言っているのです。
 
 
ごく単純に
「自分は演じることと、人気者になることのどちらを目指したいんだろう?」
と自問自答するだけでは、答えはいつまで経っても
「……両方だ」
という人が圧倒的多数だと思うんです。
 
でも、それでいいのだと思います。
「俳優を目指す」「演技が好き」とは、そういうものですから。
 
 
ただし。
樋口さんのツイートの通り、それぞれで「勉強すべき内容が変わる」のです。
「これらを一緒くたにしてしまうから混乱が起きる」のです。
 
 
この「混乱」とは、本人自身の中でもそうでしょうけれど。
同時に、教える側でも同じことが起きます。
 
 
両方の思いがある。
それ自体は、何も問題はありません。
 
しかし、一番困るのは。
演技を教える場に「人気者になりたいから」という別の課題を持ち込んできてしまうことです。
 
 
そうやって、その場にそぐわない思いを持ち込むと、本人も、教える側も、みんなが混乱するのです。
これが、樋口さんの言う「間違った方法&方向の努力」というものになってしまうのです。
 
 
 
 
まずは、自分の心の中の願いを明らかにしましょう。
その結果、「演技が好き」「人気者になりたい」の両方があるのなら。
それぞれに必要な内容を、きちんと切り分けて勉強しましょう。
 
 
学ぶべきことが2つになったって、それでいいじゃないですか。
2つの目標があるのなら、その両輪をしっかり回してあげないと、あなたという車は前進しないのですから。
 
だから、無理に天秤にかけて、どちらかを切り捨てようとする必要はありません。
 
 
必要なことは、それぞれの学ぶ場所で、しっかり課題を切り分けること。
八百屋で魚を買おうとするのではなく。
八百屋に行った時は野菜を買い、魚が欲しければ、魚屋にも行けばいいのです。
 
そのためにも、自分が「野菜が欲しいのか、魚が欲しいのか」、両方欲しければ「どのお店が八百屋で、どのお店が魚屋なのか」をきちんと把握することです。
 
 
二十歳の頃の僕は、とにかく演技がやりたかった。
とにかく、演技がやりたかった。
 
それなのに、「有名になるための場所」に向かってしまい、混乱が起きた。
魚を買うために、八百屋に向かってしまったのです。
 
そんな僕を見て、プロデューサーさんは、
「うちは魚屋じゃないぞ」
というサインを出してくれていたのですね。
 
 
 
▲「お前は何を言ってるんだ? ウチは八百屋だぞ。魚屋じゃない。」
……ただ、あの時のプロデューサーさん、初日からえらく高圧的でした。
見方によっては、ハラスメントにもなりかねないような言動。あの態度はちょっといただけませんね。
言われた方は、それがハラスメントだなんて考えず、「自分が間違っていたのか…」と受け取ってしまいがち。
こうしたことにも惑わされないよう、気をつけたいものです。(僕はまんまと、惑わされました……)
 
 
 
僕が今、教えていることは、「人気者になる方法」ではありません。
 
専門学校や芸能事務所の養成所では、事務所所属のオーディションがあって、その道が用意されているでしょうけれど。
僕のワークショップでは、芸能事務所への扉を(直接的には)開いてあげられません。
 
でも、演技への道は続いています。
 
求めるものと、提供するものとのマッチングにミスると、混乱します。

自分の欲求(本心)にしっかりと耳を傾け、正しい方法&方向の努力をしてくださいね。

 

▲焦らず、心の声に耳を傾けてください。

その声が「やりたい!」と言っているのなら、ぜひ、従ってあげてくださいね。

 

 

 

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