ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2021年04月13日に、フランスの水道・廃棄物処理大手ヴェオリア・エンバイロメント(Veolia Environnement SA)と同業スエズ(acquire Suez SA)は2021年04月12日に、合併の主な条件で原則合意したと発表した。
スエズは約半年にわたり、ヴェオリアによる買収に抵抗を続けてきたが、ヴェオリアが買収提示額をスエズ株1株当たり€20.5に引き上げたことなどを受け、交渉がようやくまとまった。
両社を合わせた年商は約€370億と、公益事業分野の巨大企業が誕生する見通しとなったと報告した。
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イギリスの経済新聞FT(フィナンシャル・タイムズ/Financial Times)によると、買収額は、スエズ株1株当たり€20.5。ヴェオリアはこれをスエズの企業価値を約€130億と見積もった水準としている。
イギリスの経済新聞「Private Equity News」によると、ヴェオリア社は2020年08月、スエズ社の筆頭株主であるフランスの電力会社エンジー社(Engie SA)から、スエズ社の29.9%の株式を購入するオファーを出した。
ヴェオリアは2020年10月05日に、フランスのエネルギー大手エンジー(Engie SA)が保有するスエズの株式29.9%を1株当たり€18で取得することで合意し、2021年02月には同条件で残り株のTOB(株式公開買い付け)に乗り出していた。
関係者によると、買収額が引き上げられたことを受け、エンジーは差額を受け取る見通しという。
両社はこのほか、合併後のスエズ事業の範囲について、フランスでの水道・廃棄物事業と、イタリア、チェコ、アフリカ、中央アジア、インド、中国、オーストラリアの主に水道事業、国際的な環境技術事業とすることで合意した。
ヴェオリアは、「新スエズを一貫性と持続可能性を備えた売上高約€70億のグループとして確立する」としている。
両社は2021年05月14日までに正式な合併契約を締結することで合意している。
スエズはこの動きをフランスの水事業をオランダに新設された財団に移すという毒薬のような防衛策をとった。
また、スエズは他の買収先を探し、ヴェオリアによるエンジーが所有する株の買収計画に対して裁判所に異議を申し立てたが、これは失敗に終わった。
今回、両社が合併で合意したことを受け、これらの計画は撤回される。
この2社は1800年代からライバル関係にあり、160年の歴史を持つヴェオリア社は、1853年に勅令(imperial decree)によって設立された「Compagnie Generale des Eaux」としてスタートし、フランスの田園地帯の灌漑と都市への水供給という2つの主要な目的を持っていた。
一方、150年の歴史を持つスエズ社は、地中海と紅海を結ぶ運河を建設し、世界の貿易に革命をもたらした会社の名を冠している。
さすが、ヨーロッパの会社である。
もの凄い喧嘩が解決した。
ヴェオリア社の最高経営責任者であるアントワーヌ・フレロ(Veolia Chief Executive Antoine Frérot)は、今回の買収により「ヴェオリア社を中心としたエコロジー変革の世界的なチャンピオンが誕生し、今世紀で最も重要と思われる分野での参照プレーヤーをフランスに提供することになる.」と述べている。
スエズはヴェオリアによる買収提案に対し、提示額が低すぎるとして一貫して反発し、敵対視していた。