1月30日に群馬県の大泉町を、龍馬プロジェクトの関東ブロックのメンバーと視察してきました。
大泉町では、平成2年の出入国管理及び難民認定法の一部改正以後、南米日系人の企業就労者が急増し、特に平成元年に300人程度だったブラジル国籍の方が、平成二年には800人に増え、2008年のリーマンショック前には5000人を超える規模に膨らみました。
リーマンショックは外国人労働者に厳しく、その後東日本大震災の影響もあり、その数は4000人まで減少したものの、人口41500人の町ですから、人口の10%はブラジル国籍の方で、そのほかの外国人をいれると現在は人口の17.3%が外国人という人口構成になっています。
基本的な話として、大泉町は行政が積極的に外国人を受け入れようとしたわけではなく、民間の企業活動の中で、自然に数が増えていったことを確認しました。(最初は日本人と変わらない外見の方々だったのが、徐々に南米人ぽくなっていって、今では完全に外国人としか見えない方々がやってきているそうです。)
よって最初はお客さんのように対応してきた行政も今では、共同して地域運営を進めるメンバーとして扱っているということでした。
行政で一番の壁は、語学や教育だとのこと。役場に6人の通訳を置いたり、外国人学校をつくったり、それぞれの公立学校(7校)に外国語クラスを設けた利している取り組みをお聞きしました。
生活交流事業を進めるものの一番の課題は「ゴミ問題」で、やはり外国の方はゴミの分別などがなかなか難しいようです。
外国人の方の生活保護率は約24%だとの事。これは個人の問題だけにはできず、外国人労働者は契約社員として働くことが大半で、年齢を重ねるともう雇ってもらえず、社会保障や納税の情報を理解していなかったため、年金などの申請もできないという背景があることが分かりました。また、生活保護は県の管轄であるため、大泉町としてはしっかりとした生活の管理は難しいという話もありました。
警察の方からは、大泉町を含む管轄の犯罪発生率は県内1であることを聞きました。外国人差別になるといけないので、外国人の犯罪率は個別に公表していないとの事でした。
こうした様々な課題はあるものの、行政としては外国人の方々とどう一緒にやっていくかを考えておられ、特別ネガティブな感情を持っているような感じは一再受けませんでした。
その後、観光協会副会長の小野修一氏にお越しいただき、行政とは違う角度からお話をお聞きしました。
小野氏のお話では、行政は外国籍の方が「国民保険を払ってくれない」「町民税を払ってくれない」というが、そもそも彼らは税の仕組みが分かっていない、つまり、受け入れ企業がしっかり説明をせず、不安定な雇用をしていることにそもそもの問題があると指摘されていました。
外国人が社会保障の重要性に築いたのは、リーマンショックのあとで仕事がなくなって、死亡するような事件もあってからだとの事でした。
また、最近はネパール人も増えているが、元々は沖縄や九州に留学生としてきた人が、仕事をするためにどんどんと関東の方に流れてきているとのことでした。(突っ込んでは聞きませんでしたが、恐らく違法就労になるでしょう)
さらに別の問題としては、外国人労働者にもユニオンが近寄って、雇用者を訴えるケースが増えているとのことでした。本来は、労使間で話し合えば解決するような問題も、ユニオンが間に入ることによってお金の請求になります(ユニオンは賠償金からお金を取るのが目的)。中小企業などであれば、それが会社の経営を揺るがすことにもなるので、大きな問題だそうです。
彼はNPO法人「NO BORDERS」を立ち上げて、外国人への日本語教育や勉強の補習、多文化共生の推進などを進められています。
外国人の子供に指導するポイントは、 同じ経験をしてきた日本で暮らす外国人が指導に当たることとおっしゃっていました。
学校で日本語クラスがあるのに、どうして日本語授業をするかというと、子供たちは学校で日本語の勉強をするとその裏で行われる教科の勉強ができなくなってしまうことや、公立学校の日本語の先生の指導レベルが決して高くないこと、が課題としてあるからだそうです。
セルジオさんいわく、外国人だからといって行政などに特別扱いされることは決していいことでない、日本で生きていく以上、日本人と同じ環境で頑張れる子にしないと、結局はそのこのためにならない、と。
また、日本で辛い経験をした外国人は、日本が好きでなくなり子供にも日本人を悪く言う傾向がある、それを変えていくには子供によい経験をたくさんさせて、親の意識も変えていかねばならないともおっしゃっていました。
さらに、私が意地悪な質問で申し訳ないけれど、と断った上で、日系アメリカ人の442部隊の例を挙げて、万が一日本とブラジルが戦争になるようなことがあったら日本側について戦ってくれるか、と聞いたところ、セルジオさんは「日本にお世話になってきたから私は日本人として戦います」と答えてくれました。
最後に彼が言ったことは、やはり外国人が日本に馴染むのは時間がかかるけれど、先に来た自分たちがしっかり後の人に伝えていくことが大切で、外国人だけのコミュニティーに固まって生活していくのは良くないこと、ということでした。
お2人のお話の後は、近隣のブラジル人の食品店や衣料品店などを回りました。
皆さん非常に明るく好意的で、エキゾチックな感覚を楽しめました。
今回は限られた時間で表面的な部分しかまだ理解できていないと思いますが、
大泉町のケースでは、日本の企業が労働者不足で外国人を入れたのが発端です。
しかし、彼らは決して日本人と同じ待遇では働いていません。ですから不景気になれば一番最初に解雇されます。社会保障はしっかりしていない。そうすると生活保護に頼ったり、犯罪に走ったりすることになるのでしょう。
外国人を「安くて解雇しやすい労働力だ」と捉えて、雇用することは大きな間違いで、日本人らしくないと私は考えます。入れてくるなら日本人と同等に待遇するべきですし、それができるならもっと日本人をしっかり雇用して欲しい。
企業の利益追求だけを考えて外国人労働者を入れてくるのは、外国人にも失礼ですし、彼らの人生を狂わせ、日本への信頼を失わせます。行政の負担も大きく、地域住民からの不満もでて、最終的には差別に繋がるでしょう。
そんな動画も作っているのでこちらもご覧下さい。
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だからこそ安易な理由で外国人を利用するようなやり方はやめてほしいのです。
ちゃんと日本を好きになってもらえるような本当の交流を作っていきたいとあたらめて考えました。