「ゆいの森あらかわ」で『じんじん』連続上映会! (前編) | 映画『じんじん』公式ブログ

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「絵本の里」北海道剣淵町を舞台に人の優しさと親子の絆を描く、
映画『じんじん』2013年春〜全国で上映。現在はオンデマンドサービス等で観ることができます。撮影記録や映画の最新情報をお届けしている公式ブログです。

目眩がするような酷暑の時期は過ぎたものの、まだまだ暑い夏は続いています。こんな日は、外に出るよりも、涼しい図書館の中でゆっくり過ごしたいですね。

 

1F正面入り口。右手奥にあるのは館内併設のカフェ。

 

 

懐かしい絵本を眺めながらカフェでランチしたり、親子で工作のワークショップに参加したり、映画や講演、企画展示で勉強してみたり、そして少しだけ涼しい夕方になったら、テラスでのんびり読書…

 

「ゆいの森」最上階のテラス。別の角度からは東京スカイツリーもよく見えます。

 

 

こんな1日の過ごし方が、ひとつの建物のなかで全部叶ってしまう図書館が、2017年3月に、東京都荒川区の都電沿いの町の一角に誕生しました。荒川区立の複合施設「ゆいの森あらかわ」です。

 

 

この「ゆいの森あらかわ」で8月、2週にわたり『じんじん』(剣淵編)、そして『じんじん〜其の二〜』上映が行われるということで、さっそく1週目となる剣淵編の上映会に行ってきました!

 

絵本に囲まれたホールで上映会

 

上映が行われたのは、館内の「ゆいの森ホール」。

 

 

スタジアム風の階段状の座席は、今日のようにホールとして使用される場合は客席として、イベントがないときは、小さなお子さんも一緒に自由に読書ができるスペースとして開放されています。館内には飲食物持ち込みOKのスペースがあり、室内でおもちゃや遊具で遊べる「あそびラウンジ」では保育士さんのサポートも。地域の子育て世代のコミュニティの場として毎日にぎわっているそうです。

 

壁一面に飾られているのは絵本!もちろん、自由に手にとって読むことができます。

 

 映画のエンドロールが終わると、客席からは自然と拍手が湧きおこりました。『じんじん』上映会ではおなじみの光景になりましたね。

 

つづいて、こちらも上映会恒例となった、絵本『クロコダイルとイルカ』の読み聞かせ。荒川区の図書館や学校、施設などで読み聞かせ活動をされているボランティア団体「おはなしつくしんぼ」の平石洋子さんが、読み聞かせをしてくださいました。 

 

 

 読み聞かせを終えた平石さんにお話を伺いました。

 

 

 『じんじん』は、今日初めてこの会場で観ました。絵本を読んでいると、最後のほうで、映画のクライマックスのシーンを思い出して…感極まって声が詰まってしまいました。映画で印象に残っているのは…クライマックスの絵本のシーンもそうですが、おばあさんが子供たちに物語を聞かせる最初の場面ですね。今の子供たちは、昔よりもいろいろなものに囲まれているけれど、本をあまり読まないので「知らないこと」が多いと思うのです。だから、大人が子供に「お話」をすること、子供たちがそれを聞く機会、ほんとうに大切なことだと思います。この場面はそれを伝えてくれていると感じました。

 

 

 来場された観客の方にも何人かお話を伺いました。あべ弘士さんの絵が好きで、北海道旭川市にあるあべ弘士さんのギャラリーにまで出かけられたという女性の方。『じんじん』を観るのは2回目で、また地元で観ることができてうれしいです、と話してくださいました。

また、ご家族4人で観てくださったという区内在住のお母さんにもお話を伺えました。「ゆいの森には時々子供たちと来ています。今日の映画を観て、子供たちも泣いていたけど、パパがいちばん泣いてたわよ(笑)」

 

2Fの「学びラウンジ」は遊びながら科学などを学べる「体験キット」が人気。この日も夏休みの自由研究に取り組む子供たちや親子でいっぱい。奥の部屋はワークショップルーム。この日のプログラムは「親子でプラモデル作り体験」。

 

 そうそう、入館時に受付でお世話になった図書館職員のKさん(ご本人のご希望によりイニシャルです)も「ぼくもDVDで観ましたよ、いい映画ですね!」と声をかけてくださいました。ありがとうございます!

 

 

子供から大人まで、読書の楽しさが身近にある町に

 

「ゆいの森あらかわ」の管理・施設係長 松嶋英夫さんにお話を伺いました。

 

----今日もたくさんの利用者の方が館内にいらっしゃいますが、1日平均何人くらいの方が来られるのでしょうか。

 

松嶋さん: 2017年の開館以来、1日の来館者数は平均すると約2,000人です。今日のようにイベントが多い夏休みだと、1日の来館者は3,000人を超えます。ただ、館内には座席が900席ありますので、皆さん本を読まれるときは、ゆったりと座ってお過ごしいただいています。

 

1Fから5Fまで吹き抜けになっている館内。

 

----来館者は荒川区民の方が多いですか? 

 

松嶋さん:来館者の約85%は区内の方ですが、近隣の区の方も来られています。遠いところですと、このあいだ新潟県から女性の方が来てくださいました。「雑誌で見て、来てみたいと思って…」とのことでした(編注:前述の受付のKさんによると、館内の「吉村昭記念文学館」を目当てに、北海道からも何人か来館されているそうです)。

 

----今日の上映会、映像が大きくて音も良くてとても観やすかったです! 

 

松嶋さん:キレイでしたよね。この上映の前に家でも観ていたのですが、やはり大きなスクリーンだと全然違いました。北海道の大自然、特にスクリーンいっぱいに広がるヒマワリ畑の風景は圧巻でした。最初のシーンは、大きな画面で観ると迫力があって、恐ろしささえ感じましたね。客席の小さい子供たちが泣いてしまわないか心配でした(笑)。映画は、親子の絆に心を打たれました。最後、バスに乗るときの銀三郎の台詞には、ぼくもウルっときてしまいました。

 

この「ゆいの森ホール」では、科学の実験ショーや星空学習、影絵劇、日本舞踊、著名人による講演会などのイベントを随時開催しています。今日映画を映し出した壁面は可動式で、イベントがないときは開けてあり、隣接する「絵本館」とひとつづきの広いスペースになっています。

 

----この「ゆいの森あらかわ」で『じんじん』連続上映会開催を決めてくださった経緯は。

 

松嶋さん:荒川区は今年5月「読書を愛するまち・あらかわ」を宣言しました。これを記念して、ふさわしい企画を検討していました。この「ゆいの森」は3万冊規模の「絵本館」があり、子供から大人まで年齢を問わず楽しめる絵本を充実させており、絵本読書の普及に取り組んでいます。『じんじん』はまさに「ゆいの森」が発信したい「絵本の魅力」が伝わってくる映画であること、また、夏休みにご家族で楽しんでいただける内容であることから、上映を決めました。

 

----「読書を愛するまち・あらかわ宣言」について詳しく教えてください。

 

松嶋さん:荒川区ではこれまで、学校図書館の充実や、今年で11回目を迎える「柳田邦男絵本大賞」などの読書活動推進事業など、読書のまち、絵本のまちとしてハード、ソフトの両面からその充実を図ってきました。こうした取り組みやその精神を未来につなげていくため、このたび「読書を愛するまち・あらかわ」を宣言しました。豊かな読書環境の整備を進めることで、人と地域がつながり、読書活動が世代をつなぎ、子供から高齢者まで誰もが読書に親しみ心豊かに暮らすことができるまちづくりを進めていきます。

 

今年度から順次、区内で集客の見込まれる施設に「街なか図書館」を設置して、いつでも身近な場所で本に触れることのできる環境を整えていきます。また平成32年度には、都市計画公園内に新尾久図書館がオープンする予定です。

 

----松嶋さんの「じんじんする絵本」を1冊教えてください。

 

松嶋さん:『モチモチの木』です。最近、そこの棚に飾ってあるのを見つけて読みました。

 

『モチモチの木』

(作:斎藤隆介、絵:滝平二郎、岩崎書店刊 初版1971年)

 

 

子供の頃にも読んだことがあり、そのときは切り絵の挿絵が少し怖い印象でした。滝平二郎さんの切り絵は、当時朝日新聞の日曜版にも連載されていて(1970年〜1977年)、よく覚えています。どういう物語だったかなぁと、あらためて読んでみると、人を大切に思う心は勇気の源であることがわかりやすく書かれていますね。懐かしさとともに感動を覚えました。

 

絵本って、子供の頃読んだものを大人になってから読むと、子供の頃にはわからなかった視点で読むことができるので、いろいろな気づきがありますね。文字も少ないので、ちょっとした時間で読めるのもいいですね。

 

「表紙がかわいいので、こんどはこれを読んでみようかな」と松嶋さんが『モチモチの木』と一緒に手に取られたのは、雨の日に男の子がピザになってしまう(!?)『ピッツァぼうや』(ウィリアム・スタイグ作 らんか社)。

 

 

松嶋さん、お話を聞かせてくださった皆さん、そして「ゆいの森あらかわ」の皆さん、ありがとうございました。来週、19日(日)同じ時間に『じんじん〜其の二』秦野編上映です。鑑賞申し込みはすでに締め切られていますが、「ゆいの森あらかわ」ではさまざまなイベントを行なっています。興味を持たれた方は、この機会にぜひ来館してみてはいかがでしょうか。

 

 

今後の「ゆいの森あらかわ」関連イベント 

 

●「プラモデルとパッケージ原画展」(9月9日(日)まで)

 

●「夏の文学館・文化館巡り〜吉村昭記念文学館・荒川ふるさと文化館スタンプラリー」(9月2日(日)まで)

 

●トピック展示「吉村昭と内藤初穂〜『戦艦武蔵』がつなぐ友情」(9月17日まで)

 

また、9月28日(金)まで「第11回 柳田邦男絵本大賞」を開催、応募受付中です(応募資格は、荒川区内在住・在勤者)。

 

 

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