ある男が教室まで来て私の名前を呼んだ。
「ヤンキーがまた来たって聞いたんだけど。華菜ってどいつ」
「ヤンキーじゃないし。」
「お前か。ちょっと来て。」
それがAとの出会いだった。なかなかの男前だった。
Tの幼なじみだった。ヤクザの息子と聞いて、なおさらかっこよく見えた。
AとTと何人かでつるむようになった。女子からモテていたA。私は別に恋愛感情なんかなくてもAの事が好きな女子からしたら不愉快極まりなかったんだろう。
名前は忘れたが、鼻に牛が付けるような丸いピアスを付けた女に呼び出された。
「お前、調子のんなよ!」
「別に調子のってないけど、てかあんた誰?」
「うちを知らんのん!!」
どーたらこーたらと何か言ってきたが、手は出してこない。A中学にいたときも、先輩方に呼び出された事はあるが、殴り合いの喧嘩にはならなかった。
みんなピーチクパーチクと鳴くだけだった。