成長期には
見るたびにかわいらしさの増す甥である。
そろそろ笑うことを覚えたので、もう天国みたいなかわいらしさだ。
依然として親族の誰に似たのかよく分からないが、少なくとも船越栄一郎にはそっくりである。
ちなみに、船越に激似であることを認めたうえで、さらに花田勝にも似ていると視野を広げていた妹からは、「でもあたし、この子赤ちゃんのなかでもかなりかわいいと思っていたけど、検診のときに同じ月齢の子たちとならべてみたら、みんなそんな感じだったよ」と冷静なコメントが出されている。
甥はすでに生後四カ月を迎えているので、保健所で行われる定期健診に行ってきたのだ。
ちなみに定期検診時、赤ん坊はさりげなく裸にされて蒙古班以外の痣などができていないかチェックされるという。あと、母親が鬱とかになってないかもさりげなくチェックされるらしい。
行政も、やれることはやっているのだ。
ところで、痣や不審な怪我などは見当たらなかった甥であるが、妹の話によると、保健所でいっしょになったどの女の子よりも体が小さかったらしい。
保健所の人には、「このぐらいになったら、もう欲しがるだけミルクあたえちゃっていいですよ」と言われたそうなのだが、欲しがるだけ与えていたら育たなかったという例であるようだ。
どうも母乳を与えようとすると反り繰り返って抵抗し、無理無理にミルクを与えると、強硬に抵抗するか、さもなければ寝落ちするという徹底ぶりのようだ。
おかげで成長曲線からもはみ出しそうだそうだ。
でもお友だちよりひと足早く、かわいい前歯が一本生えてきたよ。
わたくしは甥を抱き、慰めて言ったものだ。
「小さいうちは小さくてもいい。大きくなれば背も伸びる」
それを聞いていたお父さまが一言。
「ペットじゃないぞ」
でも小さい子ってかわいいもの……。