第38回白山大賞典 ~優勝はグリム。地元勢・地方馬は…~ | 金沢競馬担当日記

金沢競馬担当日記

金沢競馬のレース実況を担当するアナウンサーが、金沢競馬に関するあれこれをつづります。

今週火曜日(2日)、金沢競馬唯一のダートグレードレース・第38回白山大賞典がおこなわれました。
JRAのグリムが単独の逃げから後続を突き放し、2着に5馬身差の圧勝。勝ちタイム2分11秒4は、レコードでした。
 
(優勝 グリム  クシマデザインさま提供)

3歳馬。
重賞連勝。
今後の飛躍が期待されます。
 
 
毎年のように言うことですが、白山大賞典というレースはいわゆる「出世レース」で、ここを勝った馬がのちにさらに大きなレースで活躍する例が、非常に多く見られます。
 

中でも、これまでに3歳でここを制した馬は、スマートファルコンとケイティブレイブということになりますから、グリムも偉大な先輩たちに続き、遠からずGIを連勝するような活躍を見せてくれるようになるかもしれません。
 
(パドックのグリム)
 

そうしてゲンのいいレースとして広く認知されれば、このレースを使いたいという陣営も増え、注目度も高くなるというように、いい方へいい方へ、物事が循環していくといいなあと期待しているのですが。
 
 
 
 
グリムの手綱をとった内田博幸騎手は、金沢競馬場の表彰台は初。
 

 
「この馬は(スタートから)仕かけて行っても、賢いというか、すぐに息が入ってくれるので、すごく乗りやすかったです。
 
初めてのコースということもあり、1コーナーから2コーナーあたりで少し内を見たりしたんですが、外から来られて逆に助かりました。
 
新幹線も通って、金沢は気軽に来られる場所になりましたけど、毎年来たいと思っているんですが、なかなか来ることができず、そのなかなか来られない金沢で勝つことができてうれしく思っています」

 
清々しい表情でこたえてくれた内田騎手に、ファンのみなさんから大きな声援と拍手がおくられていました。
 
 
(表彰式の様子)
 
 
 
 
 
この白山大賞典は今年が38回目。
1997年にダートグレードとなってから22回。
 
いまだに地元・金沢勢を含め、地方所属馬の優勝がありません(2007年の優勝馬は金沢のビッグドンですが、馬インフルエンザの影響で、指定交流重賞としてではなく、地元重賞としておこなわれたものです)。

 
 
今回、昨年2着の名古屋・カツゲキキトキト、トライアルのイヌワシ賞勝ち馬ホッカイドウ・モズオトコマエ、今年すでにダートグレードを2勝している新子調教師の兵庫・タガノヴェリテの3頭が、地方他地区から遠征。

 
地元金沢からは、ドリームズライン、マイネルリボーン、ムーンファーストが参戦しました。
 
 
 
 
JRA勢が人気上位を占め、地方勢は、単勝式で、

 
カツゲキキトキト 5番人気
モズオトコマエ  7番人気
タガノヴェリテ  8番人気
ムーンファースト 9番人気
マイネルリボーン 10番人気
ドリームズライン 11番人気
 
 
この厳しい評価の中、それぞれがどのようなレースを見せたかと言うと…。
 

 
 
カツゲキキトキトは、終始、好位の内側を追走し、勝負所で勝ち馬には離されましたが、直線で先行したマイネルバサラをとらえ、結果3着。
またしても悲願のダートグレード制覇こそならなかったものの、さすが地方の雄という結果でした。
(パドックのカツゲキキトキト)
 
 
モズオトコマエは、道中は後方。そこからよく追い上げ、最後は5着あらそいにも加わる7着。しまいの脚は、前走イヌワシ賞で披露した豪脚に及びませんでしたが、目立つものでした。
(モズオトコマエ。…すみません、ピンボケしました。オトコマエをピンボケしてどうする!というツッコミ、ごもっとも。申しわけありません)
 
 
タガノヴェリテも後方から。完全にバテたミツバとドンフォルティスを抜いたのみに終わり、厳しい結果となりました。
(タガノヴェリテ。今回は厳しい結果でしたが、巻き返しに期待)
 
 
 
地元勢では、マイネルリボーンが大健闘の5着。
道中は「ついていけないか?」と思わせるシンガリでしたが、上がりの脚はメンバー中トップタイの38秒1で、まさに猛然と追い込みました。
ためれば必ずいい脚を使う、この馬らしいレースで強豪相手の掲示板は立派と褒められていいのではないでしょうか。
(マイネルリボーンは掲示板。上がり最速タイ)
 
 
ムーンファーストはマイネルリボーンとは半馬身差。
中団の内追走から徐々にポジションを上げ、直線手前では上位馬にもせまる勢いを見せました。
金沢ひいきとしては、正直、ここからの一押しが加われば…と悔しくもある6着ですが、このメンバーでこの内容のレースができたのは収穫アリと思われます。
(ムーンファースト)
 
 
ドリームズラインも後方待機。
末脚でマイネルリボーンに及ばず、苦しい8着。東海三冠馬の力は、まだ完全には取り戻せていないのでしょうか。ただ、地元馬同士ならば…という想いをいだかせる走りではありました。
(ドリームズライン)

 
 
 
今年も地元馬・地方所属馬による白山大賞典制覇はなりませんでしたが、参戦した人馬は、力を出し、いいところを見せてくれました。

 
しかし何と言っても、金沢競馬ファンとしては、金沢勢による白山大賞典制覇を見たい。
 
 
来年こそは、ジャングルスマイル・ナムラダイキチに贈られたものを超える、最高の拍手と声援が聞かれるようにと願いつつ、今年の白山大賞典回顧としたいと思います。
 
 
 
なお、今回も素敵なお写真を、クシマデザインさまよりご提供いただきました。ありがとうございます。
パドックでの写真は大川撮影。それ以外はクシマデザインさまによるものです。
 
 
(第38回白山大賞典 優勝グリム号)