村上龍は今文学界でどういう位置付けなんだろうか。いや、文学界でなくとも一般的にどういう作家と思われているんだろう。カンブリア宮殿で会社の社長と対談している人くらいの認識だろうか。年代によって当然イメージは違うだろうが、デビュー作の「限りなく透明に近いブルー」というタイトルは村上龍と言う名前も知らない人にも何かしらの形で認知されているのではないか。


 圧倒的に語られる事が多いのは村上春樹の方だろう。新刊が出るたびにニュースになる、そんな作家は村上春樹だけである。そこと比較するのはフェアじゃない気がするが、デビューの時期も近く、どちらも世代を代表しているかのような特徴的な作風のせいもあり(名字が一緒だし)初期は割と比較され語られる事が多かったように思う。ここら辺はリアルタイムでなく後追いでいくつか2人を比較する評論など読んだ事があると言うだけで正確性には欠けるがあながち大きく間違ってはいないだろう。


 村上春樹もこんなニュースになるのは、多分にノーベル文学賞が獲得が近いとされている海外の評価がある事が自明だろう。昔からベストセラーである事は間違いないし、圧倒的に読み易い。村上春樹のファンを公言する著名人も多いし、本当は全くそうでは無いと思うがスタイリッシュなイメージですよね一般的に村上春樹の小説は。


 で村上龍だ。私が最初読んだのは「5分後の世界」です。幻冬社文学の完成と大塚英志に言われた作品ですね(断っておきますがこれは賞賛の言葉でなく批判の言葉です)。

 90年代後期、村上龍はかつて無い量産ペースに入っていて、毎月のように新刊を出しているようなイメージでした。私は後追いでその時期出ている本から遡って初期の本まで読みました。やっぱりコインロッカーベイビーズとか最高に面白かった記憶がありますよ。あと村上龍が書くロックバンドてカッコよかったんですよ。みんな村上龍が描くようなバンドやりたかったんです。打ち合わせもせずステージに集まり、そこから雷鳴のようなギターの音が鳴り今まで聞いた事がないようなメロディをヴォーカルがシャウトするみたいな。全然話脱線しますがthe verveが再結成後だしたアルバムて村上龍の小説のバンドが具現化したような音でした。


 ロックやってる奴はみんな村上龍が好きだったんですよ(雑)ピロウズの前身のバンド名はコインロッカーベイビーズだし、ルナシーには限りなく透明に近いブルーって曲ありますし。


 村上春樹の小説がただ男女がSEXするだけの話みたいに揶揄されますが、村上龍の小説も基本ドラッグやってSEXして、今の日本は腐ってる、システムを打破しろみたいな事言ってるだけの話ですからね。2人とも社会問題を自分の作品の中の主題に持ってくる事が多いですが(社会に影響受けない作家などいないともいえるが)村上春樹がメタファー的に記すのとは別に村上龍はもっと露骨に露悪的にかきますからね。援助交際が話題になれば女子高生の小説。引きこもりが話題になれば引きこもりが主人公の小説。北朝鮮の問題が話題になれざ脱北者の話。それを社会問題に対して誠実な態度とみるかミーハーな守銭奴ととるかは人によると思いますが。


 村上龍を思い出したのは何年か前ユーチューバーという小説だしましてそれを最近読んだからです。本当は作風の変化みたいもの語りたかったんですが、思ったより村上龍について書きたいことがでてきて、四方八方いきまとまらないので、ここらへんで筆を締めたいと思います。図書館で最近のエッセイも借りたんで改めて読んでみまして、機会があれざ村上龍についてはまた後日記したいなあと。


 先生、村上龍読みたいっす、、