昔、小学生の頃、学校からの帰り道、
道端にポツンと段ボール箱が置いてあった。
中をのぞき込むと、三匹の子猫が重なり合うようにしてブルブルと震えていた。
そっとさすったり、ひざの上にのせて抱っこしたり…。
しかし、それ以上どうすることもできず…、
その日は後ろ髪を引かれる思いで家路に着いた。
翌朝、激しい雨音で目が覚めた。
いつもの時間より早く家を出た。
昨日のあの場所へまっしぐら。
びしょびしょにぬれた段ボールの箱、
傘を放り出して慌てて駆け寄った━━━━。
以前、歩き遍路で土砂降りの雨の中を一日中歩き続けたことがあった。
夕方近くになってようやく雨もやんだ。
すっかり日も暮れて辺りは真っ暗に、遠くの方にその日お世話になる宿の門灯だけが見えた。
女将さんが近くまで迎えにきてくださった。
生きとし生けるものすべての幸せを願って。
仏様や菩薩様の御心は、空よりも高く海よりも深く大空よりも広いと聞いた。
そして、時に私たちの身近にいろいろな姿や形、さまざまな人物となって現れるとも聞いた。
これまで四国の道でたくさんの仏様や菩薩様と出会った。
夏の暑い時は冷たいジュースや果物を、寒い冬にはあたたかい缶コーヒーやお茶のお接待。
道ですれ違った時には、ニッコリと笑顔で「こんにちは」、「ようおまいり」、「道中、お気をつけて!」━━━━。
結局、あの段ボール箱の中に子猫たちはいなかった。
たぶん、やさしい飼い主さんが迎えにきてくれたのだろう。
そう、私がこれまでお遍路で出会った仏様や菩薩様のような方々に、
あの子猫たちもきっと巡り合ったに違いない。
これからも祈り続けたい。
生きとし生けるものすべてのために。
仏様や菩薩様の大いなる慈しみの“こころ”、
それは、いつもずっとそばにある。
いつも私たちの身近にある。
誰の心の中にも、皆の心に中にある。
南無大師遍照金剛
合掌
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皆さん、おはようございます。
三毛猫ちゃんの里親さんになっていただける方を募集いたしております。
気になる方がいらっしゃいましたら、土浦大師不動尊 羽黒山 大聖寺様までお尋ねいただければ幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願い申し上げます。
高野山真言宗修行僧 天宮光啓 九拝