給料がびた一文減らない公務員なんているのか? | 爺庵独語

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爺庵の独善的世相漫評

 昨日のエントリーで採り上げた橋下徹の妄言に関して、もうひとこと。

 橋下は「給料がびた一文減らない(略)公務員」と言ったそうだが、これもまた橋下が公務員をディするために頻用するフレームアップ=でっちあげである。

 確かに経済活動が収縮してしまった状態であっても、いま現在の公務員の給与が下がることは原則としてないが、首長と議会が結託すれば給料は下がる、下げることができる。それは橋下が大阪府の知事になってすぐさまやったことである。確か最大で20%近い大幅な給料カットを橋下はやったはずだ。当時爺庵の知人は、それによって住宅ローン返済の計画がずいぶん影響を受けたとぼやいていたもんだ。こんな実績があるのだから、「びた一文減らない」などとは橋下の、おのれ自身をも欺く虚言である。

 さらに言うなら、公務員の給与水準というのは、基本的に世間より一年遅れで経済情勢の影響を受けるシステムになっているのである。人事院(人事委員会)勧告というシステムがそれで、過去一年間の民間企業の給与水準を調査した上で、公務員給与の改定が勧告され、それに基づいて実際の給与改定が行われる。従って、経済活動沈滞による民間給与水準の低下は、一年後に公務員給与に反映される。低下が一年遅れなら、上昇も一年遅れだ。しかも勧告はあくまで勧告だから、給与の増額改定が勧告されても、首長の判断で改定が見送られることがある。これはかつて大阪府知事時代の太田房江がやったことだ。

 経済不況下で、橋下徹のようなデマゴーグは、公務員は給料が減らないといって大衆に負の感情を植え付けようとする。しかし一年後に経済不況の影響が公務員給与に反映されたときに、デマゴーグがそれに言及することはないだろう。つまるとこと、「公務員は給料がびた一文下がらない」というフレームアップは、橋下徹のようなチンピラコメンテーターが自分の値打ちを上げるためだけにやっていることに過ぎない。こうやって大衆の記憶にはエンビーの感情の芽だけが残されてゆくのである。

 ん? チンピラは言い過ぎか? 

 いや、他人に因縁をつけて自分を利する輩のことを、世間ではチンピラというのである。言い過ぎなんぞではない。