オールスターキャスト | 爺庵独語

爺庵独語

爺庵の独善的世相漫評

 俄然面白くなってきたなぁ。
 
 森友学園なるエセ幼稚園をめぐる疑惑である。大阪府が森友学園の要望を受けて私立小学校の認可基準を緩めていたり、反対意見百出の中で異例の対応でスピード認可したりと、国と大阪府にまたがる一大疑惑の様相を呈してきたではないか。
 
 認可基準の見直しは橋下徹の知事時代、小学校の認可は松井一郎が知事になってからのことである。こころある人は、おそらく「やっと出てきたか」と思っていることだろう。というのは、橋下が知事から大阪市長に転じ、その後継候補者に松井が出てきたとき、府議時代の、いやそれ以前に松井がヒゲのオヤジの秘書として府庁や府関連団体に出入りし始めたころから、ヤツは利権に敏いということが囁かれていたから、反橋下・維新陣営では、松井であれば利権がらみのスキャンダルがきっとあるはずだ、橋下には勝てなくとも松井なら勝てると、いろいろと身辺を探っていた事実がある。ところが案に相違して、これといったものが出てこず、遂に松井ごときが知事二期目に入ってしまったというわけである。だから、当時松井の落選を祈っていたひとたちは、この問題が出て来て、「やっと出た」という感慨に浸っているのではないかと思うのである。
 
 一方の国では、財務局のべらぼうな土地安売り問題が安倍晋三の愚妻に飛び火し、安倍は国会で追及されるたびに少しずつ答弁を変えて森友学園との関係をうやむやにしようとしているが、次から次に新事実が出てきて、安倍の得意なキレ芸もこう頻繁に出したんじゃ最早飽きられたギャグにしか見えないな。
 
 安倍、松井、橋下というトライアングルがオールスターキャストで登場するドラマになってきたこの事件、なんとも判りやすい構図である。
 
 ゼニをかけずに学校経営をしたいと考える籠池なる輩が、ゼニをかけないために財務省からタダ同然で土地をせしめ、ゼニがなければ認められないはずの私立小学校の認可基準を変えさせ、偏向どころではない極右教育や財務体質への懸念もなんのそので設置認可もかすめ取っているわけだ。なんでそんなことが何もなしにできようか。安倍と橋下と松井の、行政への影響力抜きにできるはずがないじゃないか。
 
 政治家などとの付き合いが一切ない爺庵が、この籠池と同じことをやろうったって不可能だ。どこの財務局も土地をたたき売ってくれなどしないし、どこの県庁府庁もゼニがないなら学校経営などするなと門前払いを喰わせるだろう。そもそも、政治家の口利きなしに役所の幹部が会ってくれるわけがない。下っ端役人に要望したところで、そこから上に話が上がっていくことなどまずないのが役所の仕組である。
 
 この森友学園が運営する幼稚園では、幼児への虐待疑惑もあるというが、爺庵の思うに、いとけない幼児たちに安倍晋三の名を連呼させたり安保法制がどうとか、尖閣諸島がどうしたとか、中国や韓国の悪口を言わせるとか、そうした刷り込みをすること自体が、健全な成長を阻害する虐待行為だろう。テレビで報道された運動会での宣誓の様子には慄然たるものがあった。そう思ったのは爺庵だけではあるまい。
 
 これだけ悪名が轟いて、この森友学園がこれからもまともに経営できるとは思わない。とっとと消え失せればよいが、こんな幼児教育機関を野放しにする安倍や松井や橋下のごとき政治屋たちへの追及の火は消してはならんぞと思うのである。