トランプとハシシタ | 爺庵独語

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爺庵の独善的世相漫評

 米国大統領と、われらがヒーロー橋下徹閣下が似ている(もちろん容貌ではない)ということは、おそらくもうあちこちで言われていることだろうが、爺庵が思うに、この二人は似ているどころではない。
 
 かつて爺庵は橋下徹と安倍晋三とが、血の繋がらない双生児というべきだと気付き、このブログに書こうと思って実は書かないまま時日を空しうしてしまったのであるが、そこへトランプが登場してみると、橋下とトランプとの共通性に比べれば、安倍と橋下はチンパンジーとゴリラぐらい違うように思えてくる。
 
 まともな知識もないくせに思いつきをベラベラと話すところ、いつもハイテンションな演説ぶり、批判されるとムキになってキレまくり、好意的な者に対しては薄気味悪いほどに持ち上げて賞めまくるところ、ツイッターを使って日に何度も妄言を吐き散らすところ、メディアを目の敵にし、扇動的言辞で大衆のエンビーに働きかけるところ等々。
 
 そして爺庵がこの二人の心性が全く一致しているのだと思ったのは、トランプが、メキシコとの国境に壁を作った費用はメキシコからの輸入品に20パーセントだかいくらだかの関税をかけると言いだした点である。この報道に接したときに爺庵の頭に浮かんだのは、かつて橋下が文楽協会を攻撃したときの遣り口であった。橋下は文楽協会に対して謂れのないイチャモンを付けて、補助金が欲しかったら演出を変えろだの、テレビカメラの前で議論に応じなければ補助金を出さないだのと、無茶苦茶なことを吹っ掛けた。橋下の意図は言うに及ばず、トランプもメキシコがアメリカへの輸出という経済活動を止められる訳がないという高慢かつ卑俗な読みに基づいている。こうしたトランプと橋下の遣り口というのは、金で面を叩いて服従させようという陰湿極まる心性の表出である。
 
 おまけにこの二人は、どちらもテレビ番組のレギュラーとして顔を売ったというところまで共通している。
 
 アメリカと日本という、1万キロも離れた場所で別々の時に生まれ、全く違う生い立ち、全く違う育ちかたをした二人の人間が、これほど同じような心性を持ち同じような行動を行うというのは、むしろ気味が悪いほどである。似ているどころではない。ひとつの歪んだ心がふたつのヒトの肉体に同時に棲んでいるのではないかとさえ思いたくなる。ちょいとホラーな話だが。
 
 もしかするとこれは、進化生物学でいう収斂進化という奴であろうか。あるいは相似という奴か。人格を収斂させる外的要因についての研究なんて、ちょっと面白いのではないかと思うが、誰かやってみる心理学者はいないもんかな。だが、分析すべきケース対象がトランプと橋下では、誰もよりつこうとはしないだろうな。